映画ランキング - 全米映画
(2024/11/29~2024/12/1)
2024年12月2日
発表(毎週火曜更新)
2024年11月29日~2024年12月1日にアメリカで上映された映画の興行収入ランキングはこちら。『モアナと伝説の海2』『ウィキッド ふたりの魔女』『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』などがランクイン!(Box Office Essentials調べ)
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1
週末興収$80,000,000
累積興収$262,426,000
小説「オズの魔法使い」に登場する正反対な2人の魔女の友情を描くミュージカル「ウィキッド」を映画化した2部作の前章。『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウがメガホンをとり、舞台「カラーパープル」の···もっと見る
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2
週末興収$30,700,000
累積興収$111,208,000
古代ローマを舞台に、復讐に燃える元大将軍の戦いを描いた『グラディエーター』の続編。主人公ルシアスを『aftersun/アフターサン』のポール・メスカルが演じ、「イコライザー」シリーズのデンゼル・ワシン···もっと見る
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6
The Best Christmas Pageant Ever
公開未定-0週末興収$3,275,000
累積興収$32,000,049
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4
Bonhoeffer: Pastor. Spy. Assassin.
公開未定-0週末興収$2,403,859
累積興収$9,747,689
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5
週末興収$2,200,000
累積興収$137,863,000
スパイダーマンの宿敵ヴェノムを主役にした「ヴェノム」シリーズ最終章となるアメコミ映画。ヴェノムの秘密を知るシンビオートの創造神“ヌル”が宇宙から飛来。一方、一心同体で過ごしてきたエディとヴェノムは、特···もっと見る
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7
Heretic
公開未定-0週末興収$956,797
累積興収$26,820,699
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10
週末興収$665,000
累積興収$6,121,193
ポーランドを巡りながら、家族のルーツや人生の葛藤に向き合う従兄弟の姿を描くロードムービー。『僕らの世界が交わるまで』のジェシー・アイゼンバーグが監督、脚本、製作を務めるほか、主人公デヴィッドを演じる。···もっと見る
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『ウィキッド ふたりの魔女』(2025年3月7日日本公開)と『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(日本公開中)の相乗効果で“Glicked”なるミームが盛り上がっていたのが感謝祭前の週末。その時から言われていたように、そこに『モアナと伝説の海2』(日本公開中)が加わり“Moaglicked”となったことで、先週末(11月29日から12月1日)も含む今年の感謝祭期間の北米興収ランキングは、前人未到の大記録が生まれることとなった。まずはその概況から伝えることにしよう。
感謝祭の連休は感謝祭前日の水曜日から始まり、そこから5日間が北米映画界を代表する書き入れ時として知られている。昨年のその期間の全体の興収は1億7000万ドル強。コロナ禍の数年は例外ではあるが、それ以前のほとんどの年で2億ドル台後半、唯一2018年だけが『シュガー・ラッシュ:オンライン』(18)など複数の大作が牽引したおかげで3億ドルを突破していた。しかし今年、この5日間の全体興収はなんと4億2343万ドル。その91.6%を上記3作品が占めているのである。
週末も含めてこの期間のトップに輝いたのは、もちろん連休のスタートに合わせて封切られた『モアナと伝説の海2』だ。4200館で公開され、連休5日間の興収は2億2544万ドル。これは歴代の同期間の興収新記録であり、従来まで1位だった『アナと雪の女王2』(19)の成績を1億ドル以上も上回る圧倒的なもの。前作『モアナと伝説の海』(16)も感謝祭タイミングでの公開だったが、5日間興収は8208万ドル。さすがに3倍まではいかなかったが、それに近い数字を叩きだすこととなった。
また前週に初登場1位を飾った『ウィキッド』も、この5日間の興収が歴代3位となる1億1827万ドル。『グラディエーターII』は歴代36位となる4428万ドルと、これらが揃ったとなれば大記録が生まれるのも納得である。完全に余談ではあるが「Deadline」の報道によれば、感謝祭期間中に消費された七面鳥の数は4600万羽だったのに対し、3作品合計の観客動員は3000万人ほどだったのだとか。
特に興味深いのは、このビッグウェーブを巻き起こした3作品がいずれも賞レースでそれなりに有力視されているタイトルだという点だ。第97回アカデミー賞の前哨戦の幕開けであるナショナル・ボード・オブ・レヴューでは、『ウィキッド』が作品賞と監督賞を受賞。同賞の作品トップ10のなかに『グラディエーターII』もランクイン。また『ウィキッド』は、アメリカ映画協会賞の作品トップ10入りも果たしている。
『モアナ2』の場合は、前作が長編アニメーション賞と歌曲賞の2部門で候補にあがっており、2作連続の候補入りがかかっている。もっとも、今年の長編アニメーション賞は例年にも増して激戦が予想されており、現時点での予測では5〜6番手の当落線上ギリギリのところ。興行を盛り上げるタイトルが、そのまま同年の賞レースにも名乗りを上げる。そういった意味で、やはり“Moaglicked”は昨年の“Barbenheimer”級のムーブメントと捉えて差し支えないだろう。
文/久保田 和馬
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