イワン・デニーソヴィチの一日:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
イワン・デニーソヴィチの一日
イワン・デニーソヴィチの一日
-

イワン・デニーソヴィチの一日

1974年6月8日公開
0
-
  • 上映館を探す
評価、レビューが削除されますがよろしいでしょうか?

国外追放処分を受けたソビエト文学の闘う作家ソルジェニーツィンが、スターリン批判の急先鋒作家としてフルシチョフ政権下のソ連文壇雪どけ時代にノーヴィ・ミール誌に発表した処女作の映画化。製作・監督はキャスパー・リード、脚本はロナルド・ハーウッド、撮影はスヴェン・ニクヴィスト、音楽はアーン・ノーディム、編集はセルマ・コネルが各々担当。出演はトム・コートネイ、アルフレッド・バーク、ジェームズ・マックスウェル、エリック・トンプソン、エスペン・スクジョンバーグ、アルフ・マルランド、マシュー・ギネス、ジョン・コーディングなど。

ストーリー

シベリア強制収容所--(ラーゲリ)の一囚人イワン・デニーソヴィチ(T・コートネー)の人生での特別に素晴らしい一日から、この物語は始まるのである。--極寒の大雪原がまだ暗闇に静まりかえって、ただ収容所の燈火のみが、何かを待つかのように浮き上がっていた。囚人イワン・デニーソヴィチは午前五時の起床の合図でおきていたが、この日はいつもと違い、身体のふしぶしが痛かった。まだ明けきらぬ暗闇の中へ出ていかなければならない。イワンのそんな考えをときほどくように、当直の看守によって毛布がひっぺがされた。「C・八五四号!」。それがイワンの収容所での名前であった。“営倉三日間”の命令が下り、イワンは看守に連れられて外へ出た。凍寒の戸外には霧がたちこめ、大型サーチライトがキャンプ中を照らしだしていた。零下四一度以上になれば作業をしなくてもすむのだが、どう温度計を見ても四十度までしかいっていない。本部に着くと、営倉はおどしだけで看守室の床洗いを申し渡された。それがすめばイワンは、班長チューリン(A・マーランド)、ツェーザリ(E・トンプソン)、アリューシカ(A・バーク)たちと点呼をすませて労働へ出かけるのだった。その頃になるとようやく朝日が雪原の彼方から昇り始め、大地の雪に照り映える。犬を連れた歩哨たちに先導され、イワンたちは何キロも先のキャンプ作りの現場へ向かって歩き、指の感覚がなくなった頃に目的地へ到着する。一日の長い、寒くただみじめな耐えることだけの労働が続く。骨の髄までくたくたに疲れきる頃、夕陽が雪原を茜色に染めて、作業は終わる。それでも、イワンにとっては素晴らしい一日なのである。イワンは寝台に身を横たえたとき、満足な一日を振り返る。営倉にもソビエト・センターにも送られなかったからだ。悲惨な収容所生活の中で〈平穏〉という言葉がいかに人間を倖せにさせるものかイワンは眠りぎわに、食べ物を噛みしめながら感じていた。また明日もこんな一日がきてくれれば良いのにと思いながら麻袋のような毛布にもぐり込んだ。外では唸るような冷たい風雲が荒れ狂っている。それは、スターリン社会主義体制を思わせるように、囚人たちの心の中に響いているはずである。

映画レビュー

まだレビューはありません。
レビューを投稿してみませんか?

コラム・インタビュー・イベント

ニュース

作品データ

原題
One Day in the Life of Ivan Denisovich
製作年
1971年
製作国
イギリス
配給
NCC
初公開日
1974年6月8日
製作会社
グループ・W・フィルム


[c]キネマ旬報社