十八代目中村勘三郎
ヤマカゲウキョウ
建て替えのために2010年4月末で一時閉館する歌舞伎座のさよなら公演から、舞踊劇2作を“シネマ歌舞伎”として映像化。六世尾上菊五郎と七世坂東三津五郎で初演時に大当たりした演目を、それぞれ孫と曾孫にあたる勘三郎、三津五郎が演じる。同時上映「蜘蛛の拍子舞」。
大名の山蔭右京(中村勘三郎)は、恋人の花子に会いに行くために、屋敷にある持仏堂に籠って座禅の行をすると妻の玉の井(坂東三津五郎)に嘘をつく。太郎冠者(市川染五郎)を持仏堂に呼び出し、布団を被せて替え玉にした右京は、急いで花子のもとへ向かう。だが、夫を心配した玉の井が持仏堂に見舞いに訪れる。驚く太郎冠者。布団に隠れ、無言のままやり過ごそうとするが、顔だけでも見たいという玉の井に、布団を剥ぎ取られてしまう。真相を知り怒った玉の井は夫を懲らしめるために、太郎冠者の代わりに布団を被り右京の帰りを待つ。夜も更けた頃、千鳥足で帰ってくる右京。何も知らずに花子との逢瀬の様子を巧みな踊りで語って聞かせるが……。
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