マッツ・ミケルセンがひげルアーを作り、女性を摩擦…『残された者』未公開シーンに魅力が凝縮!
どこまでも白い景色が続く、雪と氷だけの北極を舞台に、一人の男の孤独なサバイバルを描く『残された者 -北の極地』(18)。ヨーロッパのインデペンデント系からハリウッド大作まで幅広く出演し、卓越した演技力でファンを魅了するデンマーク人俳優のマッツ・ミケルセンが主演を務めている。そんな本作のBlu-ray&DVDが発売された。公開時にはなかった未公開シーンも収録されているので、マッツのさらなる魅力を堪能できるその貴重なカットの数々を紹介したい!
飛行機事故で北極地帯に不時着したパイロットのオボァガード(ミケルセン)は、壊れた飛行機を住処とし、荒野を歩き、魚を釣り、救難信号をひたすら送るルーティンをこなしながら、救助を待つ日々を過ごしていた。そんな彼の下にようやく現れた一機のヘリコプター。しかし、強風にあおられ墜落してしまう。機内にいた女性パイロットをオボァガードは助けだすが、彼女は瀕死状態に。そして彼は、女性を救うため、自身が生き延びるため、安全な場所を捨て、遠く離れた観測基地へ徒歩で向かう決意をする。
説明的なセリフや描写は一切ない本作。それでも、オボァガードの苦悩や葛藤が手に取るように伝わってくるのは、キャリア史上最高ともいえる抑えた“静の演技”によるものだろう。未公開シーンでもその表現力は健在だ。
ひげルアーを作るマッツ
捕らえた魚を手に、オボァガードが飛行機に戻ってくるところから始まる最初の未公開シーン。イスに腰掛けると、ペンチや針金、そして自身の髪の毛(ひげ)もナイフで切って、釣りの仕掛けを作り始める。その作業工程はスムーズで、手先の器用さに感心させられる。
助けを求めるマッツ
墜落したヘリコプターの中で、女性パイロットと吹雪の晩をしのいだオボァガード。目が覚めた彼は、無線機で助けを呼ぼうとするのだが…。セリフがほとんどない本作だが、「メーデーメーデー」という言葉を何度も発するマッツの声を聞くことができる貴重なシーン。
振り回されるマッツ
観測基地への道中、雪を掘って作ったシェルターで休憩するオボァガードと横たわったままの女性パイロット。その間も、彼は機器のハンドルを回しながら救難信号を出し続ける。その時、機器にわずかな反応があり、場所を変えながらひたすら信号を送り続けるのだが…。
忘れてしまったマッツ
ただただ歩き続けるオボァガード。すると突然、なにかを思い出したように立ち止まり、来た道を急いで戻り始める。彼の忘れ物とはいったい…?
温めるマッツ
オボァガードは女性パイロットに水を飲ませて介抱する。その後、彼女の手を取り、自身の手でこすりながら摩擦で温めようとする。彼の優しさが垣間見えるシーンで、観ている側も思わず、“温めてほしい”と思ってしまうことだろう。
今後も、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した『偽りなき者』(12)の監督、トマス・ヴィンターベアの『Druk(原題)』(公開未定)や、『アダムズ・アップル』(05)などの盟友、アナス・トマス・イェンセンの監督作『Retfærdighedens ryttere(原題)』(公開未定)などで主演を務めるマッツ。その動向にますます注目が集まる彼が、ほぼ一人芝居で体現した“生”への渇望を、本作の未公開シーンもチェックして感じ取ってほしい。
文/平尾嘉浩(トライワークス)
発売中
価格:Blu-ray 4,800円+税、DVD 3,900円+税
発売・販売元:ハピネット