長澤まさみ「自分で出演を決めた作品だと伝えていきたい」『MOTHER マザー』大森監督との対談で明かす
「最初の1週間だけ、お互いに上手くいかなかったんです」(大森監督)
大森監督は、長澤との初タッグについて「実は、最初の1週間だけ、お互いに上手くいかなかったんです」と切りだすと、長澤は「正直に『やりづらかった』と言っていいですよ!」とおちゃめにツッコむ。
大森監督は「長澤さんが、脚本からは想像できないようなものすごい表情をしたり、意外な声の出し方をしたりすることが何回かあり、『なぜ、そこにたどりついたのだろう?』と戸惑ったことがありました。もちろん、撮影をしていくなかで、そこはすぐに解消されましたが」と述懐。
「ああ、長澤さんはこういうふうに物事を考えていくのか、という発見が何度もありました。キャラクターや物語を分析してロジカルに演じているんだな、と思う時もあれば、感性で動くんだ!と驚く時もあったりして。この芝居は一体どこから出てきたんだろう?とうなったり、そう来る!?すごいね!と感心させられたりして。撮影していてすごくおもしろかったです」。
秋子が息子の周平を激しく叱責したり、手を出したりするシーンは見ていて実に痛ましい。周平役は、幼少期を郡司翔が、少年期を奥平大兼が演じているが、両者とも映画初出演の新人である。長澤が「彼らはまだ子どもだから、本当に傷ついてしまったらどうしよう、と思いました」と心配したのは言うまでもない。
「撮影の合間に、『ひどいことを言ってごめんね』と郡司くんに言ったら『うん、大丈夫。だって、本当じゃないでしょ』と言ってくれたので、すごく心をつかまれました。それで『ありがとう』という気持ちが芽生えたんです。郡司くんも奥平くんも、本番を重ねていくうちに、どんどん俳優らしい顔になっていきました」。
実際に子役から演技を引きだされた事が多かったという長澤。
「度胸がある子役が多く、真剣に向き合ってくれるので、私もひるんでなんていられないなと思いました。いつも子どもたちが私を引っ張っていってくれたので、彼らがいなかったら秋子役は演じられなかったし、もっと苦しくなっていたかもしれないです」。