『WAVES』『ハニーボーイ』『mid90s』…出演作続々、ルーカス・ヘッジズの“ほっとけない”魅力

ティモシー・シャラメにトム・ホランド、シアーシャ・ローナン、フローレンス・ピューなど次々と現れる若手の海外スターたち。そんな彼らと共に今後の映画界を担う存在の一人であり、繊細な演技に定評があるルーカス・ヘッジズを今回は紹介したい。この7～9月にかけて、彼の出演作が続々と公開される。

繊細さも魅力のルーカス・ヘッジズ。確かな演技力で出演作を重ねてきた写真:SPLASH/アフロ

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1996年生まれで現在23歳のヘッジズ。『ギルバート・グレイプ』(93)の脚本でも知られる脚本家、映画監督のピーター・ヘッジズを父に持ち、幼い頃から映画や演技に触れて育ってきた。俳優業をスタートさせてからは、ウェス・アンダーソン監督の『ムーンライズ・キングダム』(12)やテリー・ギリアム監督の『ゼロの未来』(13)など、10代にして作家性の強い監督の作品に次々と出演。

その後、ケネス・ローガン監督作『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(16)で父親を亡くした少年を繊細に演じ、弱冠20歳にして米アカデミー賞助演男優賞にもノミネートされている。このほか、ローナンやシャラメと共演した『レディ・バード』(19)、ゲイの少年の苦悩を丁寧に表現した『ある少年の告白』(18)、ドラッグ中毒の少年を体当たりで演じ切った『ベン・イズ・バック』(18)など、難しい役にも果敢に挑戦してきた。

不器用だけど心優しい少年を好演(『WAVES／ウェイブス』)[c]2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

実力派として活躍するヘッジズの出演作3本が、これから立て続けに公開される予定だ。まずは、フランク・オーシャンやケンドリック・ラマーら気鋭ミュージシャンたちの楽曲が全編を彩る『WAVES／ウェイブス』(公開中)から。マイアミに暮らすアフリカ系アメリカ人の兄妹の物語で、高校レスリングのスター選手を兄に持ち、見えない傷を抱えた少女エミリー(テイラー・ラッセル)を支える恋人のルーク役でヘッジズは登場する。家族がバラバラに崩壊し苦しむエミリーにやさしく寄り添い、救いの手を差し伸べようとする姿が心に残る。

若手随一の演技力を誇るルーカス・ヘッジズの出演作が目白押し(『ハニーボーイ』)[c]2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

続いて紹介するのは、シャイア・ラブーフが脚本と出演を兼任した『ハニーボーイ』(8月7日公開)。実は本作は、飲酒運転による自動車事故を起こしたラブーフが、治療施設でのリハビリの一環として、彼の子役時代のトラウマでもある父親との関係を綴った手記がもとになっている。ヘッジズはラブーフがモデルの若手俳優を演じており、過去の記憶に苦しみ、それを思い起こすことに葛藤する姿を痛々しく演じている。

小柄な弟を腕力で押さえつけようとする兄を演じる(『mid90s ミッドナインティーズ』)[c]2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

最後の作品は、こちらも『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)などで知られるジョナ・ヒルが初監督を務め、半自伝的な10代の思い出を映像化した『mid90s ミッドナインティーズ』(9月4日公開)。主人公は1990年代半ばのロサンゼルスに暮らす13歳の少年スティーヴィーで、彼とストリートでスケートボードに興じる不良少年たちとの交流が描かれる。

ヘッジズはスティーヴィーの兄イワンという役柄で、小柄な弟に暴力をふるうなど高圧的な態度が目立つ。その一方で、不良少年に絡まれた際には、口では強がるも完全に腰が引けていたり、弟が交通事故に遭いケガをした時には心配するやさしさを見せるなど、人間味あるキャラクターとして表現している。