【今週の☆☆☆】女子高生がサメに襲われる『海底47m 古代マヤの死の迷宮』、ピュアな情熱が息づくロック映画『LETO -レト-』など、週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、7月23日から今週末の公開作品をピックアップ。盲目のサメが猛威をふるう海洋パニックスリラーや、自由と音楽を追い求めた若者たちを描く胸アツの青春映画など、多彩な3本がそろった!
生き延びれるか?女子高生4人組のサバイバル‥『海底47m 古代マヤの死の迷宮』(公開中)
海底に置き去りにされ、サメの猛襲と戦うことになる女性たちのサバイバルを描き、スマッシュヒットを飛ばしたスリラー『海底47m』の続編。今回は、好奇心旺盛な女子高校生4人組が主人公に。ケイブダイビングに出かけた洞窟内で古代遺跡を発見するも、太古の昔から生き延びていた未知のサメに襲撃され、絶体絶命。迷路のような水中、減っていく酸素、意見の対立…次々と直面する危機的な状況から目が離せない。ジェイミー・フォックスやシルベスター・スタローンの愛娘ら二世女優を含む、イキのよい若手女優共演もフレッシュな魅力にあふれ、誰が生き延びるのか、大いに興味をそそられる。真夏にぴったりのヒンヤリとしたスリルを体感して欲しい。(映画ライター・有馬楽)
ピュアな情熱が息づくロック映画…『LETO -レト-』(公開中)
ロシアがまだソ連と呼ばれていた1980年代。当時のレニングラード(現:サンクトペテルブルク)のアンダーグランドで静かな熱を帯びていたロック・シーンを今に伝える音楽ドラマだ。ソ連のロック事情と言われても多くの人はピンと来ないだろうが、本作にはトーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」を始めとするおなじみの名曲が全編にちりばめられており、そんな西欧のパンク&ニューウェーブに影響を受けた若者たちの人間模様にたちまちシンパシーを抱かずにいられない。また、のちにカリスマ的なロックスターとなるヴィクトル・ツォイの駆け出し時代を描いた本作は、みずみずしいモノクロームの青春映画でもある。ところがパートカラー、アニメ、ミュージカルの手法も取り入れ、豊かな創造性を発揮したキリル・セレブレンニコフ監督は、本作の製作中にロシア当局の理不尽な弾圧を受けて監視下に置かれるはめになった。このピュアな情熱が息づくロック映画には、今を生きるアーティストの“自由”への祈りがこめられている。(映画ライター・高橋諭治)
恋に翻弄される少年に、心理学者フロイトがアドバイス!…『17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン』(公開中)
舞台は1937年、ナチス・ドイツとの併合に揺れるオーストリア。田舎から母の知人を頼ってウィーンにやって来た17歳のフランツは、たばこ店の見習いとして働き始め、激動の政治情勢のなかで刺激的な経験をしていく。物語の中心となるのが、初めての情熱的な恋に翻弄されるフランツと、彼に様々な助言を与える心理学者フロイト教授との歳の差を超えた友情だ。奔放な美女への気持ちが空回りし続けるフランツの姿に痛々しさを感じる一方で、それを後押しするフロイト教授の温かい言葉の数々にほっこりさせられる。しかし、彼らの背景では着実にナチスの侵攻が進んでおり、近所でも信奉する人々が増え、それはフランツたちの日常にも影響を及ぼしていく。世界中で国家主義的な考えが広がりつつある現代にとっても決して無視できる光景ではなく、終盤でフランツが下す決断を通して、周囲に流されず自身で思慮し、決断することの大切さも教えてくれる。(編集スタッフ・平尾嘉浩)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス