盟友シャイア・ラブーフとの絆を『ハニーボーイ』監督が明かす「私の言葉を求めていたような気がします」
子役時代から活躍し、「トランスフォーマー」シリーズなどで世界的スターとなったシャイア・ラブーフ。しかし、その私生活は問題行動が多く、逮捕されてしまった経験も…。そんな彼が自らの過去に向き合い、書き綴った脚本を映画化した『ハニーボーイ』が公開中だ。ラブーフの親友であり、本作の監督も務めた映像作家、アルマ・ハレルにオンライン取材を敢行。監督を引き受けた理由、ラブーフとの関係性についても語ってもらった。
14歳でディズニー・チャンネルのホーム・コメディ「おとぼけスティーブンス一家」で人気子役となったラブーフは、着実にキャリアを重ね、現在まで多くの話題作に出演してきた。一方で、過度なプレッシャーからか、アルコールに溺れ、演技にも影を落としていく。そんな時、自動車事故を起こしてしまった彼は、裁判所命令でリハビリ治療としてセラピーを受けることになる。そこでのカリキュラムの一環として、書き上げたのが本作の物語だ。
「映画にしなければならないという使命感を感じた」
「最初の草稿を読んだ時、心をグッと掴まれたような感覚でした」
そう語るのは、2011年に発表したドキュメンタリー『Bombay Beach』や次作『ラブ・トゥルー』(16)が高い評価を受け、ポン・ジュノ監督による「2020年代に注目すべき気鋭監督20人」の一人にも挙げられたハレル監督。シュールで幻想的な映像表現を得意とし、独特な美学が映画祭で常に話題になってきた。
ラブーフとの親交は、『Bombay Beach』を気に入った彼が、ハレルに連絡を取ったことから始まる。意気投合した二人は、共同でミュージックビデオを制作し、『ラブ・トゥルー』ではラブーフがエグゼクティブプロデューサーを務めていた。
「シャイアのことは以前から知っているし、経験したことも聞いてきました。私自身も子ども時代に、アルコール依存症の父と過ごした経験があり(現在は断酒中)、虐待と愛情の結びつきがいかに私たちを定義づけるのか、依存症との戦いは一生続くのか、それらと長く付き合っていく最初の一歩と言える“許し”をテーマに物語を描きたいと思っていました。だからこそ、これは映画にしなければならないという使命感を感じたのです」