盟友シャイア・ラブーフとの絆を『ハニーボーイ』監督が明かす「私の言葉を求めていたような気がします」
「将来どのような影響を与えるのか未知数」
12歳のオーティスを演じたのは、『フォードvsフェラーリ』(19)でクリスチャン・ベールの息子役に抜擢されたノア・ジュプ。22歳の彼を、主演作『ベン・イズ・バック』(18)や『ある少年の告白』(18)での繊細な演技も光る若手実力派、ルーカス・ヘッジズが務めた。
劇中でのジュプは、タバコを吸い、FKAツイッグス演じる隣人の少女とのキスシーンにも挑戦しており、それらの撮影には、特に注意を払ったとハレルは振り返る。「私が子どもの頃は、『ブリキの太鼓』(79)など意欲的な作品がいくつもありました。とはいえ、子ども時代に経験することが、将来どのような影響を与えるのか未知数なので、ノアに演じてもらうにあたってはとても気を付けました。彼が吸ったタバコですが、実はあれはマシュマロでできているんですよ(笑)。FKAツイッグスとのシーンも、実際はキスもしていないし、体にも触れていない、全部ほのめかしなんです」
「クールなつながりかなと思っています」
22歳のオーティスは、現在のラブーフに近い存在でもあり、キャスティングには苦労したようだ。「最初はルックスが似ている人を探していたのですが、しだいに彼とどこかでDNAを分かち合っている人がいいんじゃないかと思うようになりました。シャイアと似た演技との関係性、詩的なソウル、芸術に対するオブセッションを持っているような人です。そんな時、ルーカスとコーヒーを飲む機会があり、これらの要素をすべて持っていると感じたんです」
ところで、ハレルとルーカスとの交流は、彼女に思わぬ副産物ももたらした。「私が初めて手がけたミュージックビデオの曲を、ルーカスがまだ12歳の時に彼のパパが聞かせていたみたいで、『大好きな曲だったんだ!』と教えてくれました…。『うわ~私も歳を重ねたんだな』と実感しましたね(笑)。でも、そのこともクールなつながりかなと思っています」
若くして人生の紆余曲折を経験してきたラブーフが、再び俳優として、アーティストとして浮上するきっかけになるに違いない『ハニーボーイ』。そんな彼の思いに突き動かされ、チャレンジをアシストしたアルマ・ハレルが本作にかける意気込みも強い。
取材・文/平尾嘉浩(トライワークス)