【今週の☆☆☆】恋するスマホが大暴走する『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』、世界遺産の町が舞台の『ポルトガル、夏の終わり』…週末観るならこの映画!

コラム

【今週の☆☆☆】恋するスマホが大暴走する『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』、世界遺産の町が舞台の『ポルトガル、夏の終わり』…週末観るならこの映画!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、8月14日から今週末の公開作品をピックアップ。スマホにストーキングされる青年を描くコメディや、イザベル・ユペール主演の人間ドラマ、チェス少年の未来を賭けた挑戦を描く感動作など多彩なラインナップ!

恋するスマホが嫉妬に狂ったら…!? 『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』(公開中)

【写真を見る】自分のすべてを把握するスマホ“ジェクシー”に翻弄される!(『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』)
【写真を見る】自分のすべてを把握するスマホ“ジェクシー”に翻弄される!(『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』)[c]2019 CBS Films Inc. All Rights Reserved.

スマホ依存症の現代人を風刺したコメディ。スマホだけが友人の青年フィルは新機種の音声アシスタント機能“ジェクシー”の指導により、女性と初めての恋にのめりこむ。だが、ジェクシーはあろうことか、この恋に嫉妬し始めた!人生に大切なのはSNSと向き合うのではなく、人と向き合うこと。そんな教訓を含みながらも、『ハングオーバー!』の脚本家コンビが仕かけたドラマだけにギャグはノリノリで突っ走る。女性声のジェクシーの毒舌ナビや、“彼女”にセックスを迫られるフィルの困惑など爆笑シーンが次々と飛び出し、後半はスマホにストーカーされるトンでもない展開に。端末と自分との距離を考えさせられつつ、大笑いできる今風のコメディだ。(映画ライター・有馬楽)

余命わずかな女優が、家族や友人と過ごす夏の1日とは…『ポルトガル、夏の終わり』(公開中)

シントラの街並みをはじめ、色彩豊かな映像美に圧倒される(『ポルトガル、夏の終わり』)
シントラの街並みをはじめ、色彩豊かな映像美に圧倒される(『ポルトガル、夏の終わり』)[c]2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FÚRIA [c] 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions

気分の赴くまま、異国への旅に出かけることもできない。そんな今年の夏にピッタリな、旅欲を満たしてくれる魅惑的な1本。ポルトガルの世界遺産の町シントラを舞台に、大女優フランキーとその親族や友人のある夏の1日が、淡々とした会話劇とともに、ゆるやかに描かれていく。『人生は小説よりも奇なり』のアイラ・サックス監督が、イザベル・ユペールのために書き下ろした作品だけに、主人公フランキーの人物像はユペール本人に近いのではないかと、つい錯覚してしまいそうになる。陽光がきらめく避暑地を背景にしながらも、フランキーがガンで余命いくばくもないという設定ゆえ、ベースに漂うのはそこはかとない孤独感と哀しみ。それでいて、ユペールのどこか飄々としたノンシャランな佇まいが、空気が重くなりすぎるのを救う。深い緑の幻想的な森や美しいビーチ、山頂から眺める夕陽など、心洗われるような自然に抱かれつつ、いくつになってもままならないのが人生なのだよと、優しく気づかせてくれる。(映画ライター・石塚圭子)

政治難民の少年がパリでチェスチャンピオンを目指す…『ファヒム パリが見た奇跡』(公開中)

ファヒムのチェスコーチ役を、名優ジェラール・ドパルデューが演じる(『ファヒム パリが見た奇跡』)
ファヒムのチェスコーチ役を、名優ジェラール・ドパルデューが演じる(『ファヒム パリが見た奇跡』)[c]POLO-EDDY BRIERE.

政治難民の少年がチェスの全国チャンピオンを目指す実話を映画化した物語。バングラデシュに暮らす8歳の少年ファヒムは、政変の続く故郷を離れ、父と二人でフランスへ亡命する。母国では負け知らずのチェスの天才少年だったファヒムは、フランスでも近所のチェス教室に通い、仲間との友情を育み、気難しいコーチともしだいに打ち解けていく。しかし、父子の難民申請は受け入れられず、父親は強制送還を迫られ、ファヒムも施設へ預けられそうになる。この危機を脱するには、ファヒムがチェスの全国大会に出場してジュニアチャンピオンになるしかなかった。行き場を失った移民の境遇が映し出され、例え亡命に成功したとしても、それで安心して暮らせるわけではないという現実が突きつけられる。そのような現代社会が抱える問題を、一種のスポーツドラマでもある本作のドラマに乗せることで、エンタメとして楽しみながら、人権について考えさせられる作品になっている。(編集スタッフ・平尾嘉浩)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/トライワークス

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