“スピルバーグの秘蔵っ子”から依存症、逮捕へ…『ハニーボーイ』に至るシャイア・ラブーフの軌跡
子役からハリウッドで活躍し、確かな演技力と人気を誇りながらも、度重なる奇行やトラブルによって“お騒がせ俳優”の烙印が押されてしまった感のあるシャイア・ラブーフ。しかし、現在34歳になるラブーフが自身の過去を赤裸々に綴り、映画化した『ハニーボーイ』(公開中)を機に、俳優として新たな局面を迎えようとしている。本作で語られるエピソードも交えながら、彼の紆余曲折のキャリアを振り返ってみたい。
“スピルバーグの秘蔵っ子”として大作への出演を重ねるラブーフ
前科者の父親を持ち、貧しい子ども時代を過ごしていたラブーフ。そんな生活から脱するため俳優を志した彼は、10歳にしてスタンダップ・コメディアンとしてキャリアをスタートさせる。次から次へとオーディジョンを受けまくり、2000年代初頭よりディズニー・チャンネルで司会を担当し、同チャンネルのドラマ「おとぼけスティーブンス一家」の主役を務めるなどして、徐々に人気子役としての地位を掴んでいく。
ハイティーンになってもその勢いが失速することはなく、ディズニー映画『穴/HOLES』(03)でも主人公を演じたほか、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(03)や『アイ,ロボット』(04)にも出演。『コンスタンティン』(05)ではキアヌ・リーヴスの相棒役も務めている。
さらに、「おとぼけスティーブンス一家」を子どもと観ていたスティーヴン・スピルバーグにも早くからのその才能を注目されており、彼が製作総指揮を務める「トランスフォーマー」シリーズや『ディスタービア』(07)、『イーグル・アイ』(08)で主演に抜擢され、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(08)ではインディの息子を演じるなど、“スピルバーグの秘蔵っ子”として世界的スターの階段を駆け上がっていく。
名匠の社会派作品やアート系作品でも活躍
ハリウッドの娯楽大作での活躍に目が行きがちだが、『ウォール・ストリート』(10)のオリヴァー・ストーンや『ランナウェイ 逃亡者』(12)のロバート・レッドフォードなど、名匠たちの社会派作品にも出演。ラース・フォン・トリアー監督作「ニンフォマニアック」二部作では過激な性描写に取り組むなど、アート系の作品にも挑戦している。