『喜劇 愛妻物語』濱田岳&水川あさみ、凸凹夫妻を作り上げた舞台裏にはハプニング満載
「結局のところすべて足立監督の人柄に尽きますね」(水川)
――娘のアキ役を演じた新津ちせちゃんとの共演は?
濱田「この映画は、彼女がアキという気丈な女の子を演じてくれたからこそ成立してる部分もありますよね。だってアキが悲しい顔をずっとしていたら虐待映画になりかねないですから、彼女のお芝居に救われているのも事実ですし。子供だと思っていくと、のまれちゃいそうで危なかったです」
水川「現場で彼女が『ママ、パパ』って率先して呼んでくれたんです。自然と家族でいられたのは、ちせのおかげだなって思いますね」
――光石さんとふせさんとの共演はいかがでしたか?
濱田「いやぁ~、勉強になりました。基本的にずっと家族3人だったから、完全に新しい風が吹いた感じがして、単純にすごく楽しかったんです。『池の鯉にあげる!』とか言いながら、アドリブで光石さんがどんどん池に料理を投げ入れたりしてましたから(笑)」
水川「ハハハ。あれはたしかに半端なかった(笑)!」
――ずばり「足立組」の魅力とは?
水川「結局のところすべて足立監督の人柄に尽きますね。豪太と一緒ですよ。『え~!?』みたいなことがあったとしても、監督がへらへらしてくれてると、それを誰かがイジることでみんなが丸く収まって、いつも楽しくいられるというか。監督は私たちのことを信用してくださっているんだなって思える瞬間が何度もありましたし、私もガッくんのことを信頼してどんどん行けましたしね。そういう信頼関係をみんなが築けていたからこそ、生まれた空気感もありますね」
濱田「あそこまで役者を信じてくれたら、応えたくなっちゃいますから。一度味わったら『またもう一回出たい』って思わされるような素敵さがあるというか。クライマックスのシーンもみんなの“あ・うん”の呼吸が整ったからこそ撮れたなぁって感じがするし。だって、毎日何かしら機材トラブルが起きてましたからね」
水川「ハハハ(笑)! あれはかなりの珍事件だったよね」
濱田「もともと2台のカメラで撮ろうとしてたのに、突然そのうちの1台が動かなくなっちゃって、スチールカメラマンさんのカメラを借りて無理矢理動画を撮ったりとか(笑)」
――『喜劇 愛妻物語』においては、なんといっても“チカの赤パンとお尻”が肝ですね。
水川「台本の冒頭にも『チカちゃんのでっかい背中が』と書かれていたので、役のために少し増量したんですけど、その甲斐あって監督がいっぱい背中とお尻を撮ってくれて(笑)。そういえば、クランクアップの時に赤いパンツをもらったんですけど、初日舞台挨拶の時に履こうと思っています」
濱田「それこそ、東京国際映画祭のワールド・プレミアの時に監督が舞台袖でスーツに着替えてたのがたまたま見えちゃったんだけど、あの日監督“赤パン”履いてたよ。『勝負の日なんだな』と思ってキュンとしましたね。こうなったら僕も初日履いて行きますよ!」
水川「みんなお揃いだね!」
取材・文/渡邊玲子