コロナ禍で映画の作り手、俳優を支援するプロジェクト『DIVOC-12』が発足!「COVID-19をひっくり返したい」

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コロナ禍で映画の作り手、俳優を支援するプロジェクト『DIVOC-12』が発足!「COVID-19をひっくり返したい」

『DIVOC-12』発足の会見に、上田慎一郎監督、三島有紀子監督が登壇
『DIVOC-12』発足の会見に、上田慎一郎監督、三島有紀子監督が登壇

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けているクリエイター、制作スタッフ、俳優たちを支援していくという、12人の映像監督による12本の短編映画製作プロジェクト『DIVOC-12』(ディボック-トゥエルブ)を発足。10月19日に、上田慎一郎監督、三島有紀子監督と制作陣登壇による記者会見が、YouTubeで生配信された。

“DIVOC”とはCOVIDを反対に並べた言葉で、「12人のクリエイターと共に、COVID-19をひっくり返したい」という想いが込められていると言う。また、このプロジェクトをDiversity(多様性)、Innovation(革新)、Value(新しい価値)、Originality(個性)、Creativity(創造)を軸に進めていくという意味合いで、各頭文字を取って名付けられた。

ソニーグループでは今年4月、新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するために「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を設立。『DIVOC-12』プロジェクトは、この基金を活用した支援活動の一環となる。

本プロジェクトの中核を成すのが『新聞記者』(19)の藤井道人監督、『カメラを止めるな!』(18)の上田監督、『幼な子われらに生まれ』(17)の三島監督で、12人のクリエイターたちが3チームに分かれて、1人10分の短編を制作していく。

『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督
『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督

上田監督は「12人の監督とやりとりをするから、他のチームがどういうものを作るのかが楽しみでもあり、ライバル心もあるから、そういう意味で、いろんな相乗効果が出てくるんだろうなと」とコメント。

三島監督も「後輩たちが監督できるってことが一つ大きいのと、いろんな支援の形があると思いますが、作り手を支援する、作りたいものを作るスタッフやキャストを支援するといったことが、ものすごく自然な形で今回されるなと。皆で一緒に発信していきたい」と本作の意義についても述べた。

3チームには、それぞれにテーマが与えられている。藤井監督チームは“成長への気づき”、上田監督チームは“感触”、三島監督チームは“共有”をテーマに作品を制作していく。

上田監督は、“感触”というテーマについて「コロナ禍では、感触が失われていた時期だったなと。人に触れること、ものに触れること、音楽や演劇を生で味わうという感触も含めての話です。それで“感触”とはなんなのか、失われていた時期とはどういうことだったのかと考えていければ」と説明。

『幼な子われらに生まれ』の三島有紀子監督
『幼な子われらに生まれ』の三島有紀子監督

三島監督は“共有”というテーマについて「自分がコロナ禍で、いろいろ考えてきたなかで、こんなに世界中が同じことに苦しんだり、悩んだりしたことってなかなかなかった。ある種、救いがないように思われるこの時期を、世界中が共有していたので、そこをいろいろとディスカッションしながら作れればいいなと思っています」と語った。

本日は、ビデオメッセージでの参加となった藤井監督は、“成長への気づき” というテーマについて、「本当に貧乏だった。でも、そのなかで成長があった」という自主映画を撮っていた時代を振り返り、「あの辛い時期があったからこそ、僕が若い作家たちにしてあげられることがあるのかなと。そういうものを大事にできたら」と述懐。

最後に上田監督が「自分はコロナで動けない時、リモートで映画を作ったことで、自分自身がすごく救われました」と『カメラを止めるな!リモート大作戦!』について触れ「不要不急とかの話題もいっぱい上がっているけど、自分はエンターテイメントがなかったら本当に死んでいたんじゃないかと思うくらい、エンターテイメントに救われて生きてきた人間なので、この映画で、少しでも気分が上がればうれしいです」と熱い想いを口にした。

三島監督も「これからどういう時代が来るのかわからないし、空気の流れもありますし、どんな自由が奪われていくのかもわからないなかで、映画を作る人間たちが、先陣の映画監督や発信者がやってきたように、我々も風穴を開けていければ」と、力強く締めくくった。

取材・文/山崎伸子

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