永作博美と井浦新、『朝が来る』の河瀬組にうなる「頭で考えた芝居ではない」「魂が削られた」
「実際に全部、現地へ行って、“彼らにとっての過去”を経験していきました」(永作)
永作が演じた佐都子は、どんなことが起きても誠実に向き合っていく芯の強い心の美しい女性だ。「佐都子はすごくきれいに描かれていたので、どういう人間を作っていったらいいのかと思い、悶々としていました。脚本を読んだあとも同じような印象でしたが、そこはきっと、現場で監督や皆さんと台詞を交わすことで、探っていけるんだろうなと思っていました」。
河瀬組では、役を演じるのではなく、役を積み重ねるということで“役積み”という言葉を使う。永作が「本編で、『昔、デートで行ったよね』とか『こんなプレゼントをしたよね』という台詞があるんですが、それらも、実際に全部、現地へ行って、“彼らにとっての過去”を経験していきました」と言うと、井浦も「カメラは回っていないので、画には映ってないのですが、クランクインする2か月くらい前から、河瀬監督の映画作りに巻き込まれていきます。すべてが演出なんです。いや、演出という言い方自体がちょっとぴんとこないかもしれない」と、河瀬組ならではのアプローチ方法に、戸惑いつつも、くらいついていったそうだ。
もちろん、その役積みの成果は、クランクインした時に、実感できたという永作。「例えば、3人家族の栗原家のシーンを撮る時、朝斗(佐藤令旺)と一緒にいる時間をすでに過ごしているので、3人の隙間がちゃんと埋まっています。自然と、私のことを『お母さん』と言っている朝斗がいました。そこが、河瀬監督の言うところのリアリティなのかなと」。
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井浦が「魂は削られつつも幸せだった」と激白
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