黒木瞳監督、果敢に挑んだロックな映画『十二単衣を着た悪魔』の舞台裏を語る
「健太郎くんは、自分でどんどんキャラクターを作っていってくれました」
主演を務めた伊藤について黒木監督は「健太郎くんは、カッコいいです。でも、最初のほうの雷は、自分の居場所がないと感じるネガティブな“ダメンズ”でいなければいけないので、その辺りはちょっと演出をさせていただきました」と言う。
「ただ彼は理解力も早く、順応性もある方だとわかったので、自由な感性に任せたほうがいいのかなとも思いました。実際に自分でどんどんキャラクターを作っていってくれました」とその感度の高さを称賛。
息子を帝にしようと野心に燃える弘徽殿女御役を、『ダンスウィズミー』(19)、『犬鳴村』『Daughters』(ともに20)などの主演作が相次ぐ若手実力派女優の三吉彩花が演じている。美しい瓜実顔で背も高い三好は、豪華絢爛な十二単衣が実に良く似合う。特に、御簾が上がって登場するシーンは、女優オーラ全開で、観る者の心を鷲づかみにする。
自身も女優である黒木監督は、三好の演出について「女優はたぶん、そういう衣装をまとえば、その役になるんですが、今回は一つ一つの台詞を取り上げて、三好さんと自分との距離を縮めていくというような作業でした」と振り返る。
黒木監督も女優なので、実際にどういう口調で台詞を言ってほしいのかを、具体的に提示ししていったそうだ。「そうすることが一番の近道だと思いました。弘徽殿女御は、雷を成長させなければいけない重要な役どころなので、『あなたにかかっているのよ』というプレッシャーを与えつつ、大事に思いながら言葉をかけていきました」。
実際に弘徽殿女御役を演じた三好は、本作で頼りない雷をしっかりと牽引していく立ち位置を見事に務めあげた。黒木監督も「三好さんはすごく食らいついてくれたし、その演技には女優の底力を拝見しました」と高く評価する。
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