批評家が選ぶ、80年代ホラー映画ランキング!懐かしいけど新しい“フレッシュ”10選
もっとも高い評価を獲得したのは、SFホラーの金字塔的作品『エイリアン』(79)の続編で、後に『タイタニック』(97)や『アバター』(09)など、世界的ヒットメイカーとなるジェームズ・キャメロン監督がメガホンをとった『エイリアン2』。前作と比較すると、ホラーというよりもSFやアクション映画としてのカラーが強くなった印象を受けるが、それでも恐怖描写は健在。
前作で生き残ったシガニー・ウィーバー演じるリプリーが長期間のハイパースリープから目覚め、植民惑星となった惑星LV426に再び足を踏み入れエイリアンと対峙する。その後も続けられたほかのシリーズ作と比較すれば圧倒的に優れている作品ではあるが、公開の5年後に約17分の追加シーンを加えて再編集が施された『完全版』のほうが『劇場公開版』よりもドラマ性豊かで完成度の高い作品に仕上がっている。
そして「80年代ホラー」の代名詞といえば、やはり「13日の金曜日」シリーズに代表される“スプラッターホラー”だ。後に「スパイダーマン」シリーズを手掛けるサム・ライミ監督が20代前半で製作し、“スプラッターホラー”ブームの火付け役となった『死霊のはらわた』が95%フレッシュの高評価。
あまり批評家からの評価は芳しくないと思われるジャンルでありながらも、この映画はやはり別格なのだろう。またシリーズ化され、数年前にリブートされた『エルム街の悪夢』もこのジャンルの代表的な作品のひとつ。2作目以降は低評価ばかりだが、1作目は意外にも94%フレッシュの高評価となっている。
また、80年代にホラー監督としてカルト的人気を集めたデヴィッド・クローネンバーグ監督の作品も92%フレッシュの『ザ・フライ』と89%フレッシュの『デッド・ゾーン』の2作がリスト入り。前者は50年代に制作された名作ホラー『ハエ男の恐怖』(58)のリメイク作品で、後者は当時『キャリー』(76)や『シャイニング』(80)で注目を浴びはじめたホラー小説界の大家スティーヴン・キングの同名小説を原作にした作品。どちらもクローネンバーグ監督らしい外連味のあふれる描写が際立っており、いまなお絶大な人気を集めている作品だ。
ほかにも、ゾンビ映画の原点といわれる『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(68)にオマージュを捧げたホラー・コメディ『バタリアン』や、ジャーロ映画の代表的作家であるダリオ・アルジェント監督が手掛けた『オペラ座 血の喝采』。ロジャー・コーマン監督の同名B級ホラー映画を原作にしたミュージカルを映画化した『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』など、高評価10傑に入った作品のほとんどが、それまでのホラー映画の歴史を受け継いだ作品か、その後のホラー映画史に大きな影響を与えた作品ばかり。
今後もさまざまなかたちで注目されるであろう80年代ホラー。この機会に改めて紐解いてみれば、ただ怖いだけではない、新たな発見があるかもしれない。いまこそホラー映画がもっとも元気だった時代の傑作たちと出会ってみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬