『ハリー・ポッターと秘密の部屋』が遺作に…名優リチャード・ハリス演じるダンブルドアが心に残る
孫娘にせがまれ、ダンブルドアをチャーミングに好演
紆余曲折な俳優人生を経て、「ハリー・ポッター」シリーズで屈指の人気を誇るダンブルドア校長を演じることになったハリス。実は、最初にオファーされた際に一度断ったというのだが、孫娘に「引き受けないと口をきいてあげない!」とせがまれ、同役を受けることにしたとか。この時の、孫に甘いおじいちゃんなハリスの姿を想像するとなんともほほえましい。とはいえ、誰からも尊敬される存在でありながら、チャーミングで親しみやすいダンブルドアはハマり役で、若い世代からもその名が知られるようになった。
名優マイケル・ガンボンに引き継がれたダンブルドア
しかし、冒頭でも言及したように、『~秘密の部屋』の撮影後、2002年10月25日に、悪性リンパ種の一種である「ホジキンリンパ種」で亡くなったことが発表され、世界中のファンが大きな悲しみに包まれた。3作目『~アズカバンの囚人』(04)以降は、ハリスと同じアイルランド出身の俳優、マイケル・ガンボンが役を引き継いでいる。もちろん、ガンボンもとてもすばらしかったが、シリーズが後半になるにつれて勢力を強めるヴォルデモートとの対峙、そして様々な苦悩と向き合っていくダンブルドアを、ハリスがどのように演じたのか。叶うならそれも見たかったという人は多いに違いない。
ちなみにガンボン以外では、『アラビアのロレンス』(62)のピーター・オトゥール、「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビット」シリーズで魔法使いのガンダルフを演じたイアン・マッケランも候補に挙がっていたそう。マッケランがオファーを断った理由には、過去にハリスから「君の演技はすばらしいが、情熱がない」と言われたことが原因らしく、「自分のことを認めてくれなかった俳優からは、役を受け継ぐことはできなかったんだ」と数年前のインタビューで語っている。マッケランがダンブルドア役を引き受けていれば、最も偉大で有名な魔法使いの2人を演じることになり、それはそれでややこしいことになっていたかもしれない。
『~秘密の部屋』では、2年生に進級したハリーたちがホグワーツに戻ってくるが、校内のどこかにある“秘密の部屋”に潜む恐ろしい怪物によって生徒たちが次々と襲われる事件が発生する。さらに、ハリーは自身とヴォルデモートの意外なつながりを知り、思い悩むことに。そんな彼をやさしく諭すハリス版ダンブルドアの言葉に、観る者誰もが励まされるはず。本作で見納めとなったハリスの姿をしっかりと目に焼きつけてほしい。
文/平尾嘉浩(トライワークス)
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■『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
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