脚本はつらいけど編集は楽しい!?『ビューティフルドリーマー』本広克行&小川紗良が語る映画作りの苦楽
「紗良ちゃんは監督の時、現場ではコワイっていう話ですよ…?」
──実際の映画撮影現場でも、映画が大好きな人たちばかりが集まるとそういう現象が起こったりするものですか?
本広「特に仲が良い人たちが集まると、そういうふうになる場合もあります。僕の演出はほかの映画からの引用が多くて、“え〜と、ここは『ブレードランナー』の最初の空撮にしてください”と話したり。すると、ドローンチームから『え〜と、それってどういう感じでしたっけ?』って返されちゃって。僕も僕で“え、『ブレードランナー』見てないの? 見てねえのか〜ッ!?”って返して、周りを巻き込みながら現場を盛り上げていくっていう(笑)。でも、そうやって自分たちが笑いながら撮っていった映画って、お客さんも笑っている印象があるんですよ。そもそも、スタッフを威圧しながらつくることがしんどくて。そうじゃなくても監督って意外と孤独だったりしますからね。そういえば紗良ちゃんは監督の時、現場ではコワイっていう話ですよ…?」
小川「全然こわくないですよ、どこから聞いたんですか(笑)」
本広「黙っていて、なにも言わない監督だって」
小川「そんなことないです、しゃべってますから〜」
本広「(構わず続けて)言葉じゃなくて目ヂカラで演出する、みたいな(笑)」
小川「それ、単にイメージじゃないですか(笑)」
本広「いや、サラじゃなくて紗良ちゃん本人が監督する時はどんな感じなのかな、と思ってね。台本を持って演出する?」
小川「現場では台本をほとんど持たないですし…よく台本をなくしちゃうんですよ。『あれ、私の台本どこ?』って」
本広「昔の現場だったら激怒されるパターンだ。僕も若い時になくしちゃったんだけど、『台本をなくしたのか、オメェ〜ッ!』って、めちゃくちゃ怒られて、いまだにトラウマだもん(笑)。でも、紗良ちゃんが監督の現場、見てみたいなあ」
──ちなみに『ビューティフルドリーマー』のサラに、小川さん自身の経験やご本人の資質を投影した、ということは…?
小川「今回のサラに関しては、実際の自分とは全然違っていて。そこは役として、映画にまっしぐらすぎておかしなことになっていく、みたいなところを突き詰めて演じていました。さすがに自分が監督する時は、オーディションでサラみたいな振る舞いはしないです(笑)」
本広「サラ、ムチャ振りしてたもんなあ(笑)」
小川「さすがに『飛んでみて』とか言わないですから(笑)」
取材・文/平田真人