【今週の☆☆☆】綾野剛&北川景子共演のサスペンス『ドクター・デスの遺産』、ヤン・イクチュンの好演が光る『詩人の恋』など、週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、11月12日から今週末の公開作品をピックアップ。ベストセラー小説を映画化した衝撃作、スランプに陥った詩人のある“出会い”を描く韓国映画、デリヘルで働く女性たちの物語など、個性豊かな3本です!
安楽死請負人ドクター・デスの驚きの動機とは?…『ドクター・デスの遺産 ―BLACK FILE―』(公開中)
重病の不自由な体で死を望む人や、その家族の願いをかなえることは“殺人”に相当するのか?しばしば論議される、そんな安楽死の問題に切り込みつつ、サスペンスフルなミステリーを展開させる本作。中山七里の人気小説をベースに、ネットで志願者をつのる安楽死請負人ドクター・デスの正体を追う刑事コンビの奔走を描く。自身も難病の娘を抱える刑事は、ドクター・デスが仕掛けた罠に、どう立ち向かうのか?敵の動機が判明した時、物語はサイコスリラーの色合いを深め、観る者をサスペンスの急流へと引きずり込んでいく。刑事コンビにふんした綾野剛と北川景子の熱演はもちろん、犯人に扮した俳優の怪演からも目が離せない!(映画ライター・有馬楽)
中年詩人が経験する、人生の痛みやはかなさ…『詩人の恋』(公開中)
しっかり者の妻に養ってもらっている売れない中年詩人テッキが、ある日突然、近所のドーナツ店で働く若いイケメン店員に心を奪われる。それは妻から子作りのプレッシャーを受け、詩の創作にも行きづまっている苦い現実からの逃避なのか、それとも本当の恋なのか。序盤は軽やかなコメディ調で滑り出す本作は、中盤以降にしんみりとしたトーンに転じ、夢見がちで大人になりきれない主人公が自分自身を見つめ直しながら、ある決断を迫られていく姿を映し出す。この世の美しさを言葉で紡ごうとしている主人公が、人生の痛みやはかなさを経験していく皮肉な物語を、『息もできない』『あゝ、荒野』のヤン・イクチュンがこれまでの荒々しいイメージを覆してチャーミングに体現。リゾート地として知られる済州島の風景や主人公の心の移ろいを表すいくつもの詩と相まって、じんわりと胸に染み入るヒューマン・ドラマだ。(映画ライター・高橋諭治)
セックスワーカーの女性たちのさまざまな生き様…『タイトル、拒絶』(公開中)
劇団「□字ック」主宰で劇作家でもある山田佳奈監督が、13年初演の同名の舞台劇を『劇場』『ステップ』などの伊藤沙莉の主演で映画化。本作は雑居ビルにあるデリヘル嬢の事務所を舞台に、伊藤が演じる世話係カノウと店で働くセックスワーカーの女性たちのさまざまな生き様を生々しく描き出す。そこで炙り出されるのは女性たちそれぞれの人生観やたてまえと本音、欲望と葛藤、切実な想いや痛み……。それらが彼女たちと同性の山田監督の手で容赦なく徹底的に、しかし愛情たっぷりに描かれるから胸が絞めつけられたり、愛おしく思えたりするのだ。中でも、カノウと恒松祐里が演じるNo.1デリヘル嬢マヒルが屋上で話すシーンは、女性の強さと弱さが入り混じった狂おしくも忘れられないシーンに。いつまでも脳裏に焼きつくに違いない。(映画ライター・イソガイマサト)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス