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万華鏡、動く絵本…“美しさ”に秀でた、世界のアニメを牽引する「カートゥーン・サルーン」の軌跡

コラム

万華鏡、動く絵本…“美しさ”に秀でた、世界のアニメを牽引する「カートゥーン・サルーン」の軌跡

ケルト三部作の最終作『ウルフウォーカー』

ブレンダンとケルズの秘密』、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』に続く“ケルト三部作”の最終作と言われる『ウルフウォーカー』。物語の舞台は、中世、アイルランドの町キルケニー。イングランドからウルフハンターの父とともにこの町にやって来た少女ロビンは、森の中で変わった雰囲気の少女メーヴと出会う。彼女は人間とオオカミが一つの体に共存している“ウルフウォーカー”で、傷を癒す魔法の力も持っていた。ロビンとメーヴが友情をはぐくむ一方で、町を統治する護国卿は森林の開拓を進めるため、森に暮らすオオカミを退治しようとする。また、ロビンはメーヴの母が行方不明であることを知り、一緒に彼女を捜す約束をする。

【写真を見る】牧歌的な絵に癒されるカートゥーン・サルーンのアニメーションを振り返り!(『ウルフウォーカー』)
【写真を見る】牧歌的な絵に癒されるカートゥーン・サルーンのアニメーションを振り返り!(『ウルフウォーカー』)[c] WolfWalkers 2020

ダイナミックなアクションにも挑戦したエンタメ作品

モノトーンの版画風に描かれた城下町や水彩の色鮮やかな森など、手描きアニメーションを中心にしつつも、本作では新たに3Dソフトウェアを使用。ウルフウォーカーとなったロビンの目に映る風景をダイナミックなカメラワークで表現し、より躍動感ある映像に仕上げている。音楽はケルト三部作の前2作に続いて、作曲家のブリュノ・クレとアイルランドの民族音楽グループ「KiLA(キーラ)」が担当。さらに、『アナと雪の女王2』(19)でも見事な歌声を披露したノルウェーのシンガー、Aurora(オーロラ)も参加し、神秘的な世界へと観客を導いていてくれる。オオカミの姿になったロビンとメーヴが群れを率いて夜の森を駆け回るシーン、護国卿やその配下の兵士たちとの戦いのシーンなどアクションも多く、エンターテインメント性の高いファンタジー作品になっている。

ロビンの父ビルの声を演じるのは、名優ショーン・ビーン(『ウルフウォーカー』)
ロビンの父ビルの声を演じるのは、名優ショーン・ビーン(『ウルフウォーカー』)[c] WolfWalkers 2020

自然との関係性を巡る対立や、決められた社会の枠組みを打ち破ろうとするロビンのストーリーが現実ともリンクする『ウルフウォーカー』。カートゥーン・サルーンの一つの到達点とも言える本作やこれまでの作品にも触れ、その幻想的な世界に浸ってほしい。

文/平尾嘉浩

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