『ティファニーで朝食を』に怒り心頭?個性強すぎな文豪、トルーマン・カポーティの栄光と転落
『ティファニーで朝食を』(58)、『冷血』(66)などの原作で知られるアメリカの文豪、トルーマン・カポーティ。近年では、故フィリップ・シーモア・ホフマンが米アカデミー賞主演男優賞に輝いた伝記『カポーティ』(05)で、その名を知った人も多いかもしれない。セレブリティとしても社交界を席巻し、1984年に59歳でその生涯を閉じたカポーティの栄光から転落までを追ったドキュメンタリー『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』が公開中ということで、その波乱万丈な人生を紹介したい。
若き天才作家としてニューヨークの社交界を席巻!
1924年にルイジアナ州ニューオーリンズに生まれたカポーティ。幼いころに両親が離婚したため、ミシシッピやアラバマなど米国南部各地の親戚の家を転々とし、後年にカポーティ姓の男性と結婚した母親を自殺で亡くすなど、様々な苦労を重ねてきた。学校へはほとんど通えなかったそうだが、若いころから執筆に目覚め、19歳の時に発表した「ミリアム」でオー・ヘンリー賞を受賞。23歳の時に初の長編「遠い声 遠い部屋」を出版し、若き天才作家として注目を浴びることになる。
この小説の裏表紙には、長椅子に寝そべり、官能的な視線を向ける若者=カポーティのポートレート写真が掲載され、早くからホモセクシャルであることも公言。小説の内容だけでなく、自身の外見やアイデンティティを武器とし、それをうまく活用することでスターダムを駆け上がっていったのだ。
「ティファニーで朝食を」映画化にまつわる裏話
1958年には中編「ティファニーで朝食を」を発表し、61年にオードリー・ヘップバーン主演で映画化されることに。周知の通り、本作はヘップバーンが新境地を見せた名作だが、カポーティにとってその内容は芳しいものではなかったそうだ。
映画化に際してカポーティは、主演にマリリン・モンローを第一候補にすることを条件に承諾していた。しかし、この話はなくなり、イメージの異なるヘップバーンに出演依頼がなされたという。これには、「モンロー側から辞退の申し出があった」、「プロデューサー陣が彼女を適役だと思わなかった」など、諸説言われている。
映画ではヘップバーン演じる自由奔放な女性ホリーと、駆けだしの作家ポール(ジョージ・ペパード)とのロマンスが中心に描かれている。さらに、ヒロインの人物像も、雨の中でふたりが熱い抱擁を交わすラストシーンも小説とは違い、これらの改変についてカポーティは不満を抱いていたとか。今回のドキュメンタリーでも、カポーティが「ティファニーから電話が来た。宣伝のために朝食の食器セットを送ってくれると言うんだ。僕は『純銀か純金なら』と答えたよ」と話して周囲を笑わせる映像が差し込まれており、毒舌とユーモアを兼ね備えた彼のキャラクターを感じ取ることができる。
Blu-ray 発売中
価格:1,886 円+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント