『犬鳴村』『事故物件』から『樹海村』へ…ヒット相次ぐ“Jホラーブーム”再燃のワケ
現実的でありながら、エンタテインメント性も持った『樹海村』
いや、『樹海村』はそれこそもっと周到に、『犬鳴村』の現実味を感じさせる恐怖に『事故物件 恐い間取り』などのエンタテインメント的な怖さをかけ合わせて観る者を震撼させる。
舞台は、自殺の名所として知られている富士山の北西に位置する青木ヶ原樹海。映画は人気YouTuberのアキナ(大谷凛香)が、元気に生配信しながらその樹海に入っていくところからホラーアトラクションのように楽しく始まる。しかし、そこから響(山田杏奈)とその姉、鳴(山口まゆ)、姉妹の母親である琴音(安達祐実)をめぐる忌まわしい物語と封印された樹海村の秘密や、ネット上で「絶対に検索してはいけない言葉」として広がった“コトリバコ”の正体に迫る禍々しいエピソードが次々に立ち上がり、作品全体のトーンも陰鬱でおどろおどろしいタッチに。
だが、それに気づいた時にはもう遅い。遊び半分で樹海に足を踏み入れる、劇中に登場するYouTube視聴者たちと同じように、私たちもその絶対的恐怖から抜けだせなくなっているのだ。
再燃したJホラーブームの熱を『樹海村』は引き継げるのか?
それこそ、本作は清水監督が久しぶりに持てるスキルと経験を活かし、令和の時代に本気モードで放った最強Jホラーと言ってもいいかもしれない。『犬鳴村』はどちらかと言うと、キャッチーなネタを力技で視覚化したという印象だったが、今回の少女たちをめぐるドラマは重層的な深みのあるもので、W主演の山田&山口も悪夢に見舞われる劇中の姉妹に完璧になりきっている。2人の母親に扮した安達の怖いぐらいの美しさと母性にも圧倒されるはずだ。
それだけではない。誰もが知る樹海に隠された秘密を説得力のある映像で暴きだし、衝撃のVFXで視覚化した“伽耶子”や“俊雄”とはまた違うホラーアイコンたちによって驚愕のクライマックスへと突入していく。だが、そこで感じるのは、過去のフリークス映画の名作と同じ、恐怖を超越したある悲しみと崇高な愛だ。
その思いがけない後味と共に、本作を観た者は間違いなく、本領を発揮した清水崇ワールドにヤラれてしまうだろう。それこそ、世界中の人が知っている『呪怨』の清水監督が、誰もが知る自殺の名所“樹海”のおぞましい謎に迫ったホラーとなれば、放っておいてもその恐怖は全世界に拡散していくはずだ。
いままさに、新たなるJホラーのブームが始まろうとしている。
文/イソガイマサト
Blu-ray 発売中
価格:5,800円+税
発売基:東映ビデオ
販売元:東映
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2月10日(水)発売
価格:Blu-ray豪華版(初回限定生産:3枚組) 6,700円+税、Blu-ray通常版 4,700円+税
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価格:3,800円+税
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価格:2,500円+税
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