万事屋と『銀魂』の15年を語る5000字。杉田智和、阪口大助、釘宮理恵が見つめる“祭りのあと”

インタビュー

万事屋と『銀魂』の15年を語る5000字。杉田智和、阪口大助、釘宮理恵が見つめる“祭りのあと”

アニメ「銀魂」シリーズが、公開中の映画『銀魂 THE FINAL』で15年の歴史に幕を下ろす。最後のバカ騒ぎが展開される本作の公開を記念して、MOVIE WALKER PRESSでは、真選組メンバーにインタビューした前編に続き、坂田銀時役の杉田智和、志村新八役の阪口大助、神楽役の釘宮理恵ら万事屋メンバーにインタビューを敢行。この後編では、本当のラストを迎える心境や、それぞれが思う「銀魂」らしさ、さらに、最後だからこそ言っておきたい真選組メンバーへのメッセージまでを、5000字にわたって語ってもらった。

「本当に終わると聞いても、心が動じることはありませんでした」(杉田)

「終わる終わる詐欺」、ついに完結!
「終わる終わる詐欺」、ついに完結![c]空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

――『銀魂 THE FINAL』で、シリーズが本当に終わると聞いた時の心境を教えてください。

杉田「心が動じることはありませんでした。当事者がそこで騒いでいたらダメじゃないですか。閉店セールって言葉があるけれど、名前の通りに受け取ると損をするものですし(笑)。だから、動じないように意識していました」

阪口「台本をもらった時には、あー、終わるんだなとは思いました。まあ、原作が終わったのだから、そりゃ終わりますわってことですけれど。アフレコに行ったら、いつも通りに始まって、いつも通りに終わって。花束もなく“ほな!”という感じだったので、終わった感じもないですけどね、いまだに」

釘宮「何年も前から“終わる終わる詐欺”を繰り返してきたので、心の準備がだんだんとできていました。かなり前から、映画で終わりますと聞いていたので、心がざわざわすることもなく、始まりがあるから終わりがあるよね、という感じで淡々と受け止めることができました」

――今回の台本を読まれて、どのように感じられましたか。

杉田「僕はある時から、先を知りすぎていると、新鮮な演技が出来ないのではという不安もあって、あえて原作を読まないようにしていました。台本も同じで、あまり何度もチェックしすぎないようにしています。本作のアフレコで高杉晋助役の子安(武人)さんが、テストが終わったあとに、“大事なシーンだから何回もやりたくないよね”とサラッとおっしゃって。まったくその通りだと思いました。高杉の芝居を食い入るように見て、その時に出た言葉が作品と合っていればいいのだと思い知らされました。僕自身、原作通りにやるのがすべてだという考え方ではないので、高杉とのシーンを一緒に録ることができてよかったと思っています」

阪口「僕も新鮮な気持ちでやりたいので、台本を読み込むのは極力避けます。新八は基本的に巻き込まれる立場なので、その時その時の返しが大事ですし、用意されたものにならないようにしたくて原作はアニメが終わってから後追いで読んでいました。今回は最後なので台本に目を通した時点で感慨みたいなものがあるのかと思ったけれど…いい意味でそれはなかったですね。


ラストは大きな事件が描かれるけれど、基本的には15年間、日常を描いてきたからあのエンディングになるし、そのまま彼らにとっての日常が続いていくんだろうなって。大団円という終わり方ではあるけれど、同時に含みを持たせているところがいいなって。僕と新八の繋がりは終わってしまうけれど、続きがあるにしてもないにしても、『銀魂』という世界には終わりはありませんから」

釘宮「終わるんだなと思いながら読み進めて、こういう終わり方なんだと腑に落ちました。なおかつ、さわやかな気持ちにもなったりしましたね。大助さんがおっしゃっていたように、大きな事件を経て、あたりまえの日常に戻っていく。その後はそれぞれが自由に思い描いていいよって許されたような気がして、高揚感のようなものがありました。寂しいとか落ち込むというよりも、ここまでやらせていただいた、感謝の気持ちが湧き上がった作品です」

本作では、銀時も自身の内面と向き合うこととなる
本作では、銀時も自身の内面と向き合うこととなる[c]空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

杉田「自分のことしか考えていない変人の桂(小太郎)が一番、周りのことを見ている。自分の考えを絶対に曲げない高杉こそ、本当は誰かに自分の本心を見せたい、分かり合えないと言っているのに、分かり合いたいという空気を出す。すべてを忘れて楽しく生きていればいいと言っている坂本(辰馬)は、サングラスの奥に寂しい目を隠し、楽しみ方にも繊細なこだわりを持っているのが伝わってくる。そういったなかで、坂田銀時は一番答えを出さず、ヒントすら与えてくれない。だけど今回は、人のふり見て我がふり直さなかったやつが初めて自分の内面と向き合うことになります。それがそのまま『THE FINAL』の結末につながっていると感じました」

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