加熱するストリーミング戦線…アメリカではどう使われている?Netflix、Hulu、アマプラ…配信サービスを徹底比較
Netflix
【料金】
月額ベーシック:8.99ドル、スタンダード:13.99ドル、プレミアム:17.99ドル
【長所】
・オリジナルコンテンツ数
・各国語字幕・吹き替えの有無
・UIの使いやすさ
【短所】
・コンテンツ数の多さがあだとなり、観たい作品を見つけづらい
<寸評>
縦横無尽に広がるオリジナル・コンテンツ、目の付け所の速さなどコンテンツに関しては圧倒的トップに君臨。その反面、新規追加作品なのに大きく宣伝されることもなく、埋もれている佳作も多数。海外在住でもウェブ上で表示言語を変更すれば各国語字幕を表示することができ、1か国でサービスに加入していれば、世界どこでも視聴可能。移動が多いユーザーにとって、この利便性は魅力だ。アルゴリズムは加入者数が増えると精度が高まっていくため、アメリカでは機能していると感じる。
Hulu
【料金】
単体ベーシック:5.99ドル、プレミアム:11.99ドル、Diney+、ESPN+とのバンドル:12.99ドル
【長所】
・キュレーションされたコンテンツ
・UIのデザイン、使いやすさ
・値段
【短所】
・バンドル(ベーシック)だと広告が入る
<寸評>
日本のHuluとは経営母体が異なる、ディズニー傘下のHulu。ABC、フォックスTV、FXなどディズニー系列と旧フォックスのコンテンツが揃う。キュレーションが的確で、インディペンデント映画や高評価作品を多く揃える。Huluオリジナルドラマには「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のほか、映画『ハイ・フィデリティ』(00)をゾーイ・クラビッツ主演でアップデートしたドラマシリーズ、FX作品ではケイト・ブランシェット主演の「ミセス・アメリカ〜時代に挑んだ女たち」など、評価の高い作品が多い。『パラサイト 半地下の家族』(19)をアカデミー賞作品賞に押し上げた米国配給会社のNeonと提携し、2020年4月に本作を独占最速配信した。また、サンダンス映画祭史上最高額落札となった『パーム・スプリングス』(20)や、日本でもヒットした『燃ゆる女の肖像』(19)、パンデミック渦中の米国政府を追ったドキュメンタリー『Totally Under Control』などを独占配信。韓国、中華圏、日本のドラマを配信するVikiと提携し、Netflixとは違った視点で選ばれた韓国ドラマの配信も行っている。
Amazon Prime Video
【料金】
ショッピング・サイトなどを含み月額:12.99ドル、年間:119ドル
【長所】
・革新的なオリジナルコンテンツ
・各国語字幕の有無、操作性
・料金の安さ
【短所】
検索しにくいと感じる部分あり。表示されているなかに追加料金がかかる作品も含まれている
<寸評>
2020年に大幅にユーザビリティを刷新。以前は英語とスペイン語字幕だけだったが、いつの間にかプライムオリジナル作品に各国語字幕が追加されていた。さすがに「Amazon Fire TV Stick(アマゾン・ファイヤーTVスティック)」での操作性に優れ、音声検索もできる。オリジナル作品は『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(06)の続編や「ザ・ボーイズ」、ギリアン・フリンがショーランナーを務める「ユートピア〜悪のウイルス〜」など、Netflixよりも尖った作品が多い印象。ただしUIがわかりにくい部分があり、イチオシの作品以外が見つけづらいと感じる。
HBO Max
【料金】
月額:14.99ドル、6か月:69.99ドル
【長所】
・HBOのオリジナルコンテンツ
・ジブリ、クランチロール、クライテリオン(クラシック映画)など専門性のあるコンテンツ
・ワーナー映画作品が劇場公開と同時に配信開始
【短所】
・サービスのカラーが見えにくい
・月額が高い
<寸評>
ケーブルテレビチャンネルのHBOの配信サイトHBO NowがHBO Maxに代わり、チャンネル契約者にもHBO Maxアクセス権が与えられる。ケーブルテレビでHBOを観ている層はストリーミングには疎く、そのためMax加入者数とアプリで手続きを行った利用者数に隔たりが生じている。Black Lives Matterの際に『風と共に去りぬ』(39)の前時代的な描写が問題となり、「今作が作られた時代背景」の説明映像を同時配信した。クラシック映画や海外の名作のクライテリオンコレクション、全ジブリ作品が揃うスタジオ・ジブリコレクション、「鬼滅の刃」や「鋼の錬金術師」などの日本アニメのクランチロール・コレクションなど、専門性の高いコレクションを多く揃えている。リアリティTVやドキュメンタリーは少ないが、現時点でNetflixに最も近いのがHBO Maxかもしれない。