加熱するストリーミング戦線…アメリカではどう使われている?Netflix、Hulu、アマプラ…配信サービスを徹底比較
Disney+
【料金】
月額:6.99ドル、年間:69.99ドル、バンドル:Hulu参照
【長所】
・ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズなどのオリジナル・コンテンツ
・有害コンテンツがないので子どもがいる家庭は重宝
・バンドル、単体ともに良心的な金額設定
【短所】
・コンテンツの偏り
<寸評>
ディズニー傘下のブランドたち、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズなど錚々たるコンテンツを揃えるDisney+。これらのファンにとっては無双といっていい。パンデミックでロックダウンになり、学校が休校になってからは小さな子どもがいる家庭の必需サービスとなっていた。字幕と吹き替えはデンマーク語やフィンランド語などの北欧言語、ドイツ語、イタリア語、オランダ語などのヨーロッパ言語が揃う。なぜか作品によっては日本語の吹き替えがあったりする。
Peacock
【料金】
・無料会員、広告付プレミアム:4.99ドル、広告なしプレミアム:9.99ドル
【長所】
・「ザ・オフィス」が見放題
・無料プランがある
【短所】
・コンテンツの偏り
<寸評>
とにかく「ザ・オフィス」(スティーブ・カレル主演のクリンジ・コメディ)に頼り切っていて、HPのどこを見ても「ザ・オフィス」だらけ。無料プランとプレミアムの違いも「ザ・オフィス」の全話視聴可能かどうかの違いという…。Netflixで最も観られているコンテンツだからということもわかるが、2005年から2013年に放送されたドラマに依存し続けるのも限界がある。NBCのドラマはHuluでも観られるため、積極的にPeacockに加入する動機は今のところ見つからない。
Apple TV Plus
【料金】
月額4.99ドル
【長所】
・シンプル、スタイリッシュなUI
・コンテンツが限られているので観たい作品が見つけやすい
<短所>
・コンテンツ数
<寸評>
アップル製品を購入すると1年間の無料視聴がついてくる。ソフィア・コッポラ監督の『オン・ザ・ロック』(20)や、リース・ウィザースプーン、ジェニファー・アニストン、スティーブ・カレルの「ザ・モーニング・ショー」など話題作もあるが、コンテンツのために加入すると1か月で見尽くしてしまいそう。無料期間が終了しフェードアウトしても困らないストリーミング・サービス。
Viki
【料金】
広告付きの無料プラン、スタンダード:月額4.99ドル/年間49.99ドル、プラス:月額9.99ドル/年間99.99ドル
【長所】
・韓国、中華圏の最新ドラマが無料で観られる
・コンテンツ数が多い
・日本語を含む各国言語の字幕がある
【短所】
・無料プランは広告が多い
・ボランティアによる字幕のため、日本語が不安定
<寸評>
楽天が運営するアジアコンテンツ専門ストリーミング・サービス。プラス会員だと韓国で放送されたばかりのドラマも観ることができる。Vikiはストリーミングの権利を取得するのみで、字幕は全てボランティアスタッフよって自主的に作成されている。英語字幕はほぼ問題ないが、日本語字幕担当者が少ないためか、かなり不安定。VikiはHuluにもオリジナルコンテンツを提供している。
Quibi(サービス終了)
【料金】
広告付き月額:4.99ドル、広告なし月額:7.99ドル
【長所】
・10分程度の短編コンテンツのみというコンセプトが新しい
・縦でも横でも観られる画面設計
・ドラマ、ニュース、トークと雑食できる
【短所】
・コンテンツの魅力不足
<寸評>
2020年4月に、元ドリームワークス・アニメーションのジェフリー・カッツエンバーグと、テック界の大物メグ・ホイットマンが組んで始めたショートビデオ専門ストリーミング・サービス。2020年12月、サービス終了を発表、スマートTVプラットフォームのROKUがコンテンツを引き継ぐ交渉をしていると伝えられている。TikTokやInstagramのストーリーズに対抗するような、10分程度の短編動画(Quick Bitesの意味でQuibi)を集めたサービス。縦でも横でも観られるスマートフォンのUIを意識したサービスなどのコンセプト先行が裏目に出て、ローンチ時にコンテンツに魅力がないとバッサリ切られてしまった。さすが業界屈指の敏腕エグゼクティブ2人によるプロジェクトだけあり、見切りも早かった。
文/平井伊都子