『ゴジラVSコング』全米公開が2か月前倒しになったのは、好調なアジア市場が要因か?
昨年から多くのスタジオ作品の公開延期が続いていたが、ワーナー・ブラザース映画は、現地時間1月15日に衝撃的なニュースを発表した。北米で5月21日に劇場公開とワーナーの系列ストリーミング・サービスであるHBO Maxでの同日配信予定だった『ゴジラVSコング』が、公開を2か月早め、3月26日に劇場とHBO Maxで上映される。
なぜ『ゴジラVSコング』は前倒し公開に?
昨年12月、ワーナー・ブラザース映画とHBO Maxの親会社であるワーナー・メディアは、2021年公開予定の17作品を、劇場公開と同時にHBO Maxでも1か月限定で配信することを発表した。『ゴジラVSコング』と『DUNE/デューン 砂の惑星』(10月1日北米公開予定)をワーナーと共同で製作したレジェンダリー・ピクチャーズは、この一方的な決定に反発し、一時は裁判に持ち込まれるとも噂されていた。その後2社間で話し合いの場がもたれ、新たな公開日発表によって和解したと見られている。
なぜ公開日前倒しという決定に至ったのだろうか?その理由は2つあると思われる。第一の理由は、ワーナー・メディア及び同社の親会社である通信大手AT&Tの肝煎り事業、HBO Maxの会員数増加、維持対策。2021年劇場公開作の同時配信は公開日より31日間限定で、その後は各PVOD(プレミアム・ビデオ・オン・デマンド、有料配信)で配信が始まる。2020年12月25日に、劇場公開とHBO Maxでの配信が始まった『ワンダーウーマン 1984』(公開中)は2021年1月25日までの配信となる。このタイミングでHBO Maxに新規加入した視聴者をつなぎとめておくためには、毎月25日前後に新作映画を投入する必要がある。
現在の公開カレンダーでは、1月29日にラミ・マレックとデンゼル・ワシントンが主演するスリラー作品『The Little Things』、2月26日に、クロエ・グレース・モレッツ主演、実写とCGアニメを合成した『トムとジェリー』が控えている。3月26日が『ゴジラVSコング』、4月16日に格闘ゲームを原作にした実写映画で、浅野忠信と真田広之が出演する『Mortal Combat』、その後は6月4日の「死霊館」シリーズ最新作『The Conjuring: The Devil Made Me Do It』まで新作の公開予定は入っていない。HBO Maxは12月より「6か月分前払いで月額料金20%オフ」というキャンペーンを行なっているので、5月にさらなる大作映画を投入してくる可能性もあるだろう。なお、12月3日の発表では「2021年公開予定17作品」としていたが、1月28日に開幕するサンダンス映画祭でプレミア上映される『Judas and the Black Messiah』を2月12日公開に追加し、現在のところ18作品となっている。