『ゴジラVSコング』全米公開が2か月前倒しになったのは、好調なアジア市場が要因か?
ワーナー・ブラザース映画2021年の主な北米公開作品カレンダー
1月29日『The Little Things』
ラミ・マレック&デンゼル・ワシントン主演。
2月12日『Judas and the Black Messiah』
ブラックパンサー党主導者フレッド・ハンプトンをダニエル・カルーヤが演じる。サンダンス映画祭でプレミア上映。
2月26日『トムとジェリー』
クロエ・グレース・モレッツ主演。実写&CG合成アニメーション。
3月21日『ゴジラVSコング』
ミリー・ボビー・ブラウン、カイル・チャンドラー、小栗旬らが出演する、ハリウッド版「ゴジラ」第4作目。
4月16日『Mortal Kombat』
浅野忠信、真田広之らが出演。格闘ゲームの実写映画化。
6月4日『The Conjuring: The Devil Made Me Do It』
「死霊館」シリーズ最新作。
6月18日『イン・ザ・ハイツ』
「ハミルトン」のリン=マニュエル・ミランダの原作ミュージカルを『クレイジー・リッチ!』(18)のジョン・M・チュウ監督が映画化。
8月6日『The Suicide Squad』
ジェームズ・ガン監督によるDCエクステンデッド・ユニバース第10作目。
10月1日『DUNE/デューン 砂の惑星』
ティモシー・シャラメ主演、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督によるSF小説の4度目の映画化。
12月22日『The Matrix 4』
キアヌ・リーブス主演、ラナ・ウォシャウスキー監督による「マトリックス」シリーズの第4作目。
アジア圏での劇場公開がカギに
第2の理由に、『ゴジラVSコング』の製作費の約75%を出資したレジェンダリー・ピクチャーズが、中国、日本など、ワーナーが海外配給を手がけるカナダ、英国、ヨーロッパ以外の地域の配給権を保持していることが挙げられる。ゴジラの出身地日本と、レジェンダリー・ピクチャーズの親会社であるワンダ・グループが拠点を置く中国は、世界中の劇場がコロナ禍で動員、興行成績で苦労するなかも好調な成績を残している。2020年の北米興行成績は、2019年の113億9900万ドルに対して約80%ダウンの22億7800万ドルで、初めて映画市場売上世界一を中国に明けわたす結果となった。
2020年の世界興行成績トップ5内には、第1位(約4億6000万ドル)に中国映画の『八佰(原題)』(20)、第3位(約4億2000万ドル)に『愛しの故郷(ふるさと)』(20)、そして第5位(約3億8000万ドル)に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(公開中)が入っている。昨年12月25日に劇場公開した『ワンダーウーマン 1984』は公開初週こそ1670万ドルを記録したが、次週には550万ドルまで落ち込み、現在までの興行成績は北米が3500万ドルで全体の25%、海外が1億500万ドルとなっている。現在の新型コロナ感染状況を見ても、『ゴジラVSコング』の公開を当初の5月末まで待ったところで、北米の映画館の多くが再始動しているとも考えづらい。とすると、ワーナーとレジェンダリーの和解の条件が、ゴジラの需要が高いアジア圏、特に中国での早急な劇場公開だったのではないかと考えられる。
『ゴジラVSコング』の公開日は2020年3月から2020年11月に、その後2021年5月21日と2度延期されていた。予定よりも公開日が2か月早まり、度重なる延期で何度も残念な思いをしていたファンの間では喜びの声が多くあがっている。そして日本、中国を含む海外の公開日について、続報が待たれている。
文/平井 伊都子