岩田剛典と新田真剣佑の“表裏一体”バディに注目!『名も無き世界のエンドロール』の胸アツポイントとは|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
岩田剛典と新田真剣佑の“表裏一体”バディに注目!『名も無き世界のエンドロール』の胸アツポイントとは

コラム

岩田剛典と新田真剣佑の“表裏一体”バディに注目!『名も無き世界のエンドロール』の胸アツポイントとは

綾野剛と星野源が犯人逮捕に全力をかける刑事を演じたTBS系ドラマ「MIU404」や、ジョン・デヴィッド・ワシントンとロバート・パティンソンが人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描いたクリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』(20)など、“バディ”が活躍する映画やテレビドラマが大きな話題を集めた2020年。そして2021年、岩田剛典と新田真剣佑が初共演を果たした映画『名も無き世界のエンドロール』(1月29日公開)が、“バディもの”への熱をより一層高めてくれそう。

幼い頃から強い絆で結ばれてきたキダとマコトの2人
幼い頃から強い絆で結ばれてきたキダとマコトの2人[c]行成薫/集英社 [c]映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

「小説すばる新人賞」を受賞した行成薫の同名小説を、『キサラギ』(08)で日本アカデミー賞優秀監督賞に輝いた佐藤祐市監督が映画化した本作は、強い絆で結ばれた幼なじみの2人が、10年の歳月をかけて“ある壮大な計画”を企てるというサスペンス。小学生の頃に転校してきたヨッチ(山田杏奈)と3人で、高校卒業後も互いに支え合いながら生きてきたキダ(岩田)とマコト(新田)。しかしある時ヨッチは2人のもとから突然いなくなり、マコトもトップモデルのリサ(中村アン)との出会いをきっかけに忽然と姿を消してしまう。

2年後、マコトを捜すために裏社会にまで潜り込んだキダは、ようやく再会を果たす。マコトは、リサにふさわしい男になるために死に物狂いで金を稼ぎ、会社経営者の地位に上り詰めようとしていた。マコトの執念とその理由を知ったキダは協力することを誓い、2人は“プロポーズ作戦”を決行しようとするが…。

絶妙なバランスで保たれる、決して揺るがない理想的なバディ

【写真を見る】岩田剛典が見せる“裏社会”での冷酷な表情…ギャップ満点の演技で新境地
【写真を見る】岩田剛典が見せる“裏社会”での冷酷な表情…ギャップ満点の演技で新境地[c]行成薫/集英社 [c]映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

“バディもの”と呼ばれる作品の魅力は、性格も境遇も正反対の2人が同じ目的に向かって、時にぶつかり合いながらも突き進んでいく姿にある。本作で描かれるキダとマコトの“バディ”は、どちらも親がいない家庭で育ったという共通点を持ちながら、その性格と置かれている立場はまるで正反対。人当たりが良く、“ドッキリ”を仕掛けることを生きがいにしているマコトは“表社会”でのし上がっていき、そんなマコトのドッキリに引っかかってしまうほど素直で穏やかな性格の持ち主であるキダは“裏社会”で冷酷な一面をのぞかせる。

キダ役を演じる岩田といえば、EXILE/三代目 J Soul Brothersのメンバーとして活動しながら俳優としても活躍いちじるしい。『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16)では、持ち前の甘いルックスを活かしてラブストーリーを好演。「HiGH&LOW」シリーズではパフォーマーとしての身体能力をフルに活かしたアクションを披露し、『AI崩壊』(20)ではクールな捜査官としてサスペンスを駆り立てていく。その幅広い演技力は言うまでもなく、本作でもマコトやヨッチに見せる穏やかな一面と“交渉屋”として見せるダークな表情の、ギャップある演技を披露している。

ある目的のために“表社会”でのし上がっていくマコトを演じる新田真剣佑
ある目的のために“表社会”でのし上がっていくマコトを演じる新田真剣佑[c]行成薫/集英社 [c]映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

一方でマコト役の新田も、スクリーン映えする存在感を持つ役者の一人だ。本作のように幼い頃から友情を超えた絆で結ばれた男女3人の一角という役柄は、どことなく新田の代表作である「ちはやふる」シリーズにも通じるものがあり、また屈託のない笑顔で“相棒”を振り回しながら、情熱的に目的に突き進もうとする姿は北村匠海とダブル主演を務めた『サヨナラまでの30分』(20)での早逝したミュージシャン役にも通じている。


岩田も少々風変わりな行動に出る“相棒”に振り回されるという点において、一昨年放送されたフジテレビ系ドラマ「シャーロック」での演技を彷彿とさせる。つまり本作の魅力的なバディが成立したのは、演じた2人の役者が共に過去の“バディもの”作品でその素養とイメージを培っていたことが大きいのではないか。どちらかが常に影を背負い、それをどちらかが支えることで前へと進んでいくための道を切り開く。表と裏、明と暗、冷酷さと情熱。そのすべてを、2人が「表裏一体」のまま絶妙なバランス感をもって体現していく。そのバランスが保たれているからこそ、2人の関係性は決して揺るがない。そんな理想的なバディの姿に、胸を熱くせずにはいられないだろう。

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