有村架純、菅田将暉は「絶対に人を否定しない人」『花束みたいな恋をした』で全幅の信頼
「なぜ菅田くんは人望が厚いのかがわかったような気がします」
相手役を務めた菅田について有村は「菅田くんとこんなにしっかりと一緒にお芝居をさせてもらったのは初めてでしたが、なぜ彼は人望が厚いのかがわかったような気がします」と言う。
「菅田くんは人に接する時、いつもその人のすべてを認め、受け入れてくれるんです。だから、菅田くんはみんなに信頼されるし、みんなが彼と仲良くなりたい、一緒に仕事をしたいと思うのかなと。1か月半の撮影で、そういう菅田くんの人間性が見えた気がします」。
本作では恋人役ということで、「菅田くんは、現場での本番以外の時間も、すごく大事にしてくれました」と感謝する。
「1か月半という撮影期間で、恋人たちの5年分を演じなければいけなかったので、そのぶんの距離感や空気感を補うために、撮影の合間も、2人で音楽の話をしたり、絵しりとりをしたりして、他愛もない会話をずっとしていました。菅田くんはすごく絵が上手いというか、絵心があるんです(笑)。そんな雰囲気のなかで本番に向かえたので、ものすごく濃い1か月半を過ごせたし、それを画面に映すことができたかなと。それは、菅田くんとじゃないとできなかった気もします」。
麦の優しさにときめくシーンは数多いが、とりわけ濡れた絹の髪をドライヤーで乾かすシーンは見ていてキュンとする。
「あの時の私は、パーマをかけていて、水に濡れるとよけいにくるくるしていたので、それがほどけないようにと、気にしながら乾かしてくれました。恋が始まるシーンだったから、ドキドキワクワクしたし、本作では夜のシーンが多く、夜中の2時3時まで撮影する日もあったので、そういう非日常を過ごすのも楽しかったです」。
坂元作品に出演するのは、連続ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」以来となった。有村は撮影前に「この作品は坂元さんにとって、どんな作品ですか?」と直接尋ねた時、「日記のような作品です。麦と絹は、ある意味、出会ってしまったことは悲しい運命だったのかもしれない」と言われたのがとても印象に残っているそうだ。
「坂元さんがラブストーリーを書く際に気をつけているのは、わかりやすいシチュエーションや設定に頼らないことだとか。そうじゃない方向で闘うために物語を考えるし、課題を持ってやっているとおっしゃっていて、そこは自分も大いにうなずけるところがありました。私もどちらかというと、近年はわかりやすい設定を持つキャラクターよりは、等身大と言うか、自分の周りにもいそうなキャラクターを演じてきたので。だからこそすごく難しいけど、私自身もそこで勝負をしたいなと、改めて思いました」。
坂元が描く台詞の魅力については「普段、口では言わないようなことが、言葉になっている台詞もたくさんありますが、本当に呼吸をするように自然と自分のなかに入ってくるし、咀嚼できる部分もいっぱいあります。それは、坂本さんならではの着眼点で、目立たない人を主人公にすることで、より身近に感じられる気がします」と言う有村。
例えば、横断歩道で、信号が赤になっている間に、2人がキスをするシーンがとてもエモーショナルだ。
「まさか横断歩道で、押しボタン式信号に感謝する時が来るなんて、思わないですよね。普通だったらスルーしがちだけど、坂元さんは、みんなが流してしまうような小さい出来事もちゃんと脚本に入れるんです。あのシーンは、すごくユニークで、本当にチャーミングなシーンになりました」。