森山未來主演の『アンダードッグ』が最多4冠達成!日本映画大賞は『MOTHER マザー』が受賞|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
森山未來主演の『アンダードッグ』が最多4冠達成!日本映画大賞は『MOTHER マザー』が受賞

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森山未來主演の『アンダードッグ』が最多4冠達成!日本映画大賞は『MOTHER マザー』が受賞

2月17日、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社による「第75回毎日映画コンクール」の表彰式が、めぐろパーシモンホールにて開催され、受賞者らが登壇。日本映画大賞を『MOTHER マザー』が受賞し、『アンダードッグ』が日本映画優秀賞・男優主演賞(森山未來)・撮影賞・録音賞の最多4冠を達成した。

『アンダードッグ』が日本映画優秀賞・男優主演賞を受賞。主演の森山未來が登壇
『アンダードッグ』が日本映画優秀賞・男優主演賞を受賞。主演の森山未來が登壇

1946年に創設された同アワードは、演技や作品だけでなく、美術スタッフや録音スタッフといったところまで、幅広い部門で表彰。各賞の選考には、第一線で活躍中の映画評論家やジャーナリスト、専門家など約80人が関わっている。

今回、日本映画大賞に輝いたのは、大森立嗣監督の『MOTHER マザー』。本作は、実際に起きた少年による祖父母殺害事件を題材に、社会の底辺で生きる人々の姿を描いたヒューマンドラマで、息子に対し歪んだ愛情を持つ母親役に長澤まさみ、彼女の内縁の夫役に阿部サダヲと、豪華なキャストが顔をそろえている。

『MOTHER マザー』の大森立嗣監督
『MOTHER マザー』の大森立嗣監督

受賞した大森監督は「トロフィーの重さを感じ、感慨深いです」と真摯にコメント。撮影エピソードとして「(新人の奥平大兼もいるが)僕は具体的な演技指導はしないんです。この瞬間、君はどう思う?と問いかけ、それをお芝居にしてもらう。僕には見えないような景色を、役者同士で感じ取り合って演じてくれていました」と振り返った。

『MOTHER マザー』で母親役の長澤まさみと共演した奥平大兼
『MOTHER マザー』で母親役の長澤まさみと共演した奥平大兼

日本映画優秀賞は、武正晴監督の『アンダードッグ』が受賞し、男優主演賞の森山未來、撮影賞の西村博光、録音賞の藤丸和徳、瀬川徹夫と合わせて最多4冠を獲得した。

ボクサー役で男優主演賞を受賞した森山未來
ボクサー役で男優主演賞を受賞した森山未來

這い上がろうとするボクサーたちを活写した本作は、『百円の恋』の監督・脚本家ら製作陣が再集結して作り上げた。チャンピオンベルトを掴み損ね、いまやかませ犬(=アンダードッグ)となりながらもボクシングにしがみつく晃(森山未來)は、2人のボクサー(北村匠海・勝地涼)と出会い、彼らと共に再起という名のリングに立つ。

同アワードに、モードなセットアップ姿で登場した森山は、「ボクシングの世界は知れば知るほど過酷な世界と痛感した。(演じた役の)晃は、自分の力ではどうしようもできない、這い上がりたくても這い上がれない、そのなかで立ち上がっていくという役。(現在コロナ禍で)“自分では選択できない”という状況に苦しめられている人もいると思いますが、この作品がその人たちの後押しになるような作品になればと思います」と挨拶。

また、出演したことで「自分も底上げされたかなと思う」と語り、「今後も、柔軟に、流動的に表現の世界を謳歌していければいいなと思います」と、改めて表現者としての意気込みをコメントした。

そして武監督は「普段は憎くもない相手を殴ったり殴られたり。リングの上にいるボクサーにしかわからない世界。でもそこがボクシング映画の魅力なのでは」と持論を展開。「(役者たちには)過酷な撮影なので、心の中で無事でいてほしいと思っていた。(森山が)この役をやってくれたことはチャレンジだったと思う。映画を作ることは本当に才能との出会い。キャストの皆さんがすばらしかった」と笑顔を見せ、受賞した喜びを語っていた。

その他、女優主演賞には『喜劇 愛妻物語』の水川あさみが輝き、男優助演賞では『罪の声』の宇野祥平が受賞。女優助演賞では『朝が来る』の蒔田彩珠が受賞し、監督賞の河瀬直美と合わせて『朝が来る』は2冠を獲得した。

【写真を見る】女優主演賞には『喜劇 愛妻物語』の水川あさみが輝いた。華やかなシフォンドレスで登場!
【写真を見る】女優主演賞には『喜劇 愛妻物語』の水川あさみが輝いた。華やかなシフォンドレスで登場!

さらに、『許された子どもたち』の上村侑、『37セカンズ』の佳山明がスポニチグランプリ新人賞を、梶芽衣子が田中絹代賞を受賞。外国映画ベストワン賞には、アカデミー作品賞を受賞した初のアジア映画として旋風を起こした『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)が、TSUTAYA プレミアム映画ファン賞・外国映画部門には、複雑なストーリーでリピーターが続出した『TENET テネット』(クリストファー・ノーラン監督)が選出された。

取材・文/平井あゆみ

【第75回毎日映画コンクール授賞者リスト】
日本映画大賞『MOTHER マザー』(大森立嗣監督)
日本映画優秀賞『アンダードッグ』(武正晴監督)
外国映画ベストワン賞 『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)
男優主演賞 森山未來『アンダードッグ』
女優主演賞 水川あさみ『喜劇 愛妻物語』
男優助演賞 宇野祥平『罪の声』
女優助演賞 蒔田彩珠『朝が来る』
スポニチグランプリ新人賞(男性)上村侑『許された子どもたち』
スポニチグランプリ新人賞(女性) 佳山明『37 セカンズ』

監督賞 河瀬直美『朝が来る』
脚本賞 丸山昇一『一度も撃ってません』
撮影賞 西村博光『アンダードッグ』
美術賞 磯見俊裕、露木恵美子『ばるぼら』
音楽賞 渋谷慶一郎『ミッドナイトスワン』
録音賞 藤丸和徳、瀬川徹夫『アンダードッグ』

アニメーション映画賞『魔女見習いをさがして』(佐藤順一、鎌谷悠監督)
大藤信郎賞 『音楽』(岩井澤健治監督)

ドキュメンタリー映画賞『れいわ一揆』(原一男監督)

TSUTAYA プレミアム映画ファン賞・日本映画部門『ミッドナイトスワン』
TSUTAYA プレミアム映画ファン賞・外国映画部門『TENET テネット』
田中絹代賞 梶芽衣子

特別賞:大林恭子(映画プロデューサー) 

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