SF版“ワイスピ”?!『スカイライン』シリーズのリアム・オドネル監督、創作の原点は『プレデター』
ハリウッドのVFX技術をリードするスタジオ、ハイドラックスの主宰者ストラウス兄弟によって生み出された『スカイライン』シリーズ。エイリアンの地球侵略に対する人々の抵抗を描き、ファンを熱狂させてきた、このSFアクションの最新作『スカイライン ー逆襲ー』が2月26日(金)より公開。前作『スカイラインー奪還ー』に続いて監督を務めたストラウス兄弟の盟友リアム・オドネルが、エイリアンの母性を舞台にした人類の反撃という新展開をダイナミックに描いている。人類は侵略者に打ち勝てるのか?人間とエイリアンのハイブリッドは何のために戦うのか?混沌を深める、現代にも似た世界を創造した監督に、舞台裏の話を聞いてみよう。
「登場人物の過去10年を掘り下げるのがチャレンジだった」
――サバイバル・スリラーだった前2作に対して、今回は戦争アクションの要素が深まりましたが、これはあなたにとってチャレンジだったのですか?
「確かに、今回は前作から10年後を舞台にした戦争映画だね。ただし、単に戦って終わる話にはしたくなかった。どのようにストーリーを語り、どのような世界を作っていくかが新たなチャレンジだったね。前2作は、侵略される恐怖を描いており、キャラクターの過去をそれほど深く掘り下げる必要はない。しかし前作に登場したキャラクターの“その後”を描く場合は、過去10年の彼らのドラマを掘り下げなければならない。そこがチャレンジであり、楽しい作業でもあったよ」
――ストラウス兄弟は1作目を作った動機について、ハイドラックスの技術をアピールするためと語っていました。3作目ともなると、その動機も変わってきたのでは?
「基本的には変わっていないね。確かに、1作目の製作にはハイドラックスのPRというひとつの理由があった。僕自身、ストラウス兄弟とともに多くの映像作品を作ってきたし、ストーリーをつくるうえで、どんなVFXを使えるのかは、常に話し合ってきた。なので、そういう考え方は、すでに僕のDNAに組み込まれていると言ってもいいんじゃないかな」
「ストラウス兄弟は『エイリアン』シリーズの大ファンなんだ」
――プロデューサーに回ったストラウス兄弟とは、どんな作業を?
「僕が最初の観客として意識するのは、やはりストラウス兄弟だ。僕の考えたストーリーが、どれほど彼らを興奮させるか?彼らは『エイリアン』シリーズの大ファンだから、『エイリアン』何作目のあの場面を再現しよう…というように、彼らを乗せることもあるよ(笑)。彼らのようなプロデューサーもそうだし、VFXも美術もそうだけれど、その分野における優秀なスタッフの協力を得られることが映画作りには大事だ。それによって、自分の書いた脚本を理想的なかたちで映像化できる。素晴らしいシーンとなったとしたら、彼らのお陰だ。今回もそういうスタッフが集まってくれた」
――VFXの一方で、前作からマーシャルアーツの見せ場がグっと増えました。あなたはカンフー映画のファンだったのですか?
「もちろんだ。前作は当初、マーシャルアーツの要素をそれほど取り入れる予定ではなかったんだけれど、イコ・ウワイスやヤヤン・ルヒアンの出演が決まったことで、彼らのスキルを活かしてマーシャルアーツの見せ場を増やしていった。撮影現場で彼らから出される、新しいアイデアを取り入れたこともあったよ。今回は、そんな経験を踏まえたうえでマーシャルアーツを描いている。前作の経験があったので、フレーミングやカメラワークなど技術的な点で、どう撮ればいいのかを理解できていた。そのうえでスローモーションや、カメラに向かってパンチする主観ショットなど、前作にはなかったものを取り入れたんだ。描写が激しくなったのは、マーシャルアーツはビジュアル的にとても強烈な要素なので、一度描いてしまうと続編でもそれを期待される、という事情もあるね(笑)。ともかく、今回のマーシャルアーツの場面には大いに満足しているよ」