【今週の☆☆☆】ぶっ飛びガン・アクション『ガンズ・アキンボ』、トム・ハーディ主演『カポネ』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、両手に銃を固定された男がデスゲームに強制参加させられる奇抜なアクション、実在のギャングスター、アル・カポネの最晩年を描いた衝撃作、男性であることを隠して「ミス・フランス」コンテストに挑戦する主人公を描くヒューマンドラマの、鮮烈なインパクトを放つ3本!
ヘタレ男がリアルな戦場に放り込まれたら…『ガンズ・アキンボ』(公開中)
両手に拳銃をガッチリ固定されたオタク青年が闇サイトのショーに駆り出され、凄腕の殺し屋との戦いを強いられる!悪夢でしかない、そんなシチュエーションを本作はトコトン突き詰める。ネット上では匿名をイイことに強気なコメントを書き込んでも、銃を撃ったことはないし、もちろん人を殺したこともない。そんなヘタレがリアルな戦場に放り込まれたときの“必死”。とにもかくにも逃げ回り、両手が使えないのでスマホのタップも食事も排泄行為もままならない。そんなジタバタが醸し出す笑いの一方で、戦士としての成長の物語もアツく、どっぷり見入ってしまう。みっともなさも果敢さも体現するダニエル・ラドクリフの熱演ともども、大注目のアクションだ!(映画ライター・有馬楽)
驚きの最晩年。これまでのカポネ像をひっくり返す!…『カポネ』(公開中)
禁酒法時代のアメリカで数々の犯罪に手を染めながら、“暗黒街の顔”として高いカリスマ性を誇ったギャングスター、アル・カポネ。彼の知られざる最晩年が、『カポネ』として『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)のトム・ハーディ主演で映画化された。『スカーフェイス』(83)や『アンタッチャブル』(87)など、カポネをモデルにした作品は過去に何度も作られてきたが、本作がそのどれとも異なるのは、彼が梅毒の影響で認知症を患っており、現実と夢の区別がつかなくなっているということ。刑務所での長い服役生活を終え、家族のもとに戻って来たものの、幻覚による奇行を繰り返し、粗相をして下着やベッドを汚すなど、家族や友人の介助がなければ生活できない状況だ。一方で、FBIは仮病と疑っており、カポネの隠し財産を押収するため、執拗な監視活動を続けていく。カポネの病状が一つのポイントなり、なかなか真意を掴ませない彼に、FBIや家族、友人、観客も一緒に翻弄されてしまう。演じるハーディの独特なしわがれ声、危険な眼差しによるヒリヒリとした風格は存在感抜群で、マット・ディロンやカイル・マクラクランといった渋いキャスティングも映画ファンの好奇心をかき立てるはず。凶暴性を持ちながら、人間的な弱さも描かれるなど、これまでの“カポネ像”をひっくり返す本作。隆盛を極めた男の衝撃的な末路をその目で確かめてほしい。(ライター・平尾嘉浩)
自分らしく生きること、本当の“美”とは…『MISS ミス・フランスになりたい!』(公開中)
奇しくも“ジェンダ-・ギャップ”先進国最下位の日本で、絶対に見て欲しい人間ドラマ。“ミス・フランス”を夢見るアレックスが、男性であることを隠して夢に向かっていく華麗なる奮闘劇!9歳のアレックスは「ミス・フランスになりたい」と発表するも、冷たい視線にさらされ夢を封印。しかし24歳になったとき、ボクサーになる夢を叶えた幼馴染と再会し、再び夢に向かうことを決意する。コンテスト出場に向け、様々な訓練や努力を重ねていく。
幼馴染や下宿先の住人ら、個性豊かな脇キャラがいい塩梅に、悩めるアレックスを引っ張っていく様が楽しい。でも何といってもアレックスを演じる、ユニセックスなモデルとして活躍中のアレクサンドル・ヴェテールの美貌と魅力に目が釘付け!果てさて、どこの国でも“常識”を覆すのに圧力をかけるのは、権力や暴力ふりかざし系の男ばかりという実態には怒り心頭だが、だからこそアレックスを支える仲間やミスコン出場者ら、女や弱者たちの連帯や友情、共鳴に熱くなる。今や逆風が吹く“ミスコン”を舞台に、自分らしく生きること、本当の“美“とは…など、観る者の胸に炎を熱く灯す、型破りでエモーショナルな一作だ。
(ライター・折田千鶴子)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼