【今月の寅さん:最終回】永遠の旅を続ける寅さんとの思い出が蘇る…「男はつらいよ」シリーズ3作品が放送!
山田洋次監督の代表作で、渥美清演じる車寅次郎こと“寅さん”が、毎回温かい笑いと感動を届けてくれる国民的映画『男はつらいよ』。現在、BSテレ東ではシリーズ計49作品の4Kデジタル修復版を毎週土曜日に放送する「土曜は寅さん!4Kでらっくす」を展開中で、最終回となるこの3月には第48と49作が登場し、第50作『男はつらいよ お帰り 寅さん』(19)の放送も決定した。さて、今月の寅さんはどんな騒動を巻き起こすのか?
寅さんとリリーが奄美大島で夫婦同然の日々を送る…『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(95)<3月6日放送>
寅次郎からの音沙汰がなく、心配するさくら(倍賞千恵子)たちが何気なくテレビを観ていると、阪神・淡路大震災が起きた神戸の街でボランティア活動をしている彼を発見する。一方、満男(吉岡秀隆)は久しぶりに泉(後藤久美子)と再会するが、見合い相手との結婚を考えていると告げられ、気が動転して素っ気ない態度を取ったまま別れることに。しかし、居ても立っても居られない彼は、結婚式が行われる岡山県津山市へ行き、式場へ向かう泉が乗った車の進行を邪魔するなど、式をメチャクチャにして中止させてしまう。
関係者や警察に問い詰められ、自暴自棄になった満男。そのままブルートレインに乗り、鹿児島県奄美群島の加計呂麻島へとたどり着く。そこで、ある女性に声をかけられ家に泊まることになるが、そこにはなんと寅次郎の姿が。実はその女性は寅次郎と付かず離れずの関係を繰り返してきたリリー(浅丘ルリ子)で、ふたりで夫婦同然のような生活を送っていたのだった。
第25作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)以来、4度目の出演となる浅丘ルリ子がリリー役で登場。寅さんとリリーの関係はもちろん、後藤久美子演じる泉と満男の恋の結末も描かれる。撮影当時、渥美の病状は思わしくなく無理を押しての出演だった。そして、1996年8月4日に彼が死去したため、本作が遺作となった。ラストで復興途上にあるお正月の神戸の街を訪れた寅さんが、「苦労したんだなぁ。本当にみなさん、ご苦労様でした」と言う言葉が、渥美の最後のセリフとなった。
満男が寅さんとリリーとの記憶を回想する…『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(97)<3月13日放送>
靴会社のセールスマンとして日本各地を飛び回る満男。出張先の駅で、寅次郎の幻を見た彼は、電車に揺られながら寅次郎とリリーとの記憶を思い浮かべる。
渥美の死去により急遽48作で幕を閉じた「男はつらいよ」シリーズだが、ファンからの思いに応える形で本作を制作。満男が寅さんのことを回想するストーリーで、デジタルリマスターされた『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』のほか、リリーが登場する11作『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』(73)、『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(75)のシーンや、新撮シーンも使用されている。冒頭の駅で、満男が見る寅さんの幻影は、CGによる合成。渥美が歌ってきた主題歌は、前口上は生前の渥美の声を使用しているが、歌は八代亜紀が代わりを務めている。