草なぎ剛が日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を初受賞!「慎吾ちゃんや吾郎さんが支えてくれた」最優秀助演男優賞は渡辺謙
第44回日本アカデミー賞の授賞式が3月19日、グランドプリンスホテル新高輪にて開催。栄えある最優秀主演男優賞を受賞したのは『ミッドナイトスワン』の草なぎ剛だった。初受賞となった草なぎは、優秀賞ブロンズを手に「マジっすか。ごめんなさい。頭が真っ白になってしまって」と戸惑ったあと「今まで、皆さんとお仕事をさせていただいたこととか、仲間の皆さんに応援していただいていることとか、慎吾ちゃんや吾郎さん、本当に近い人たちが支えてくれて、今日この舞台に立てたんだなと思ってうれしいです」と喜びを語った。
『ミッドナイトスワン』は、草なぎ剛がトランスジェンダー役に挑んだ愛の物語。身体と心の葛藤を抱えて生きる主人公が、バレエダンサー志望の少女と出会い、疑似親子的な関係を深めていく。本作は最優秀作品賞も受賞している。
草なぎはさらに「僕は代表として、これ(最優秀賞)をもらうということで、一人の力では到底たどり着けないところですし、映画って、それぞれ作り手の方とか役者の気持ちとかいろんな方向性はあると思うんですけど、一人ひとりの人生がよりよく自由にまっとうできるような、そんな作品作りと人との関わりのなかで、これからも自分の人生をまっとうしていきたいと思います。これからも精進して頑張ります」と力強く語った。
優秀主演男優賞はほかにも『罪の声』の小栗旬、『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』の佐藤浩市、『糸』の菅田将暉、『浅田家!』の二宮和也が受賞した。
また、最優秀助演男優賞に輝いたのは、『Fukushima 50』の渡辺謙だった。これまで渡辺は『明日の記憶』(05)と『沈まぬ太陽』(09)で、第30回と第33回で最優秀主演男優賞に輝いているが、助演での最優秀賞受賞は初となった。
『Fukushima 50』は、東日本大震災時の福島第一原発事故を、『沈まぬ太陽』の若松節朗監督が描いた骨太な人間ドラマだ。本作は渡辺の最優秀助演男優賞のほか、若松監督の最優秀監督賞、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀美術賞、最優秀録音賞の最多6冠を獲得した。
渡辺は「震災以降、被災地は何度か訪れているんですけど、僕自身の役作りというよりも、緊急対策本部のクランクインの時に、100 人くらいエキストラも含めていたんですけど、やっぱり、ひと言だけ言わせていただいたんですよ。いま現在、福島でも原発事故で苦しんでらっしゃる方がいるし、そのことで命を落とされた方もたくさんいらっしゃるんだと。背負いきれないにしても、そういう思いをこの映画にぶつけていこうという思いでやったので、なかなか厳しい現場ではありました」と撮影を振り返った。
また、「今年は参加することに意義があると思ってきたので、先ほど話したように“福島の力”を、このブロンズに込めていただけたんだなと思っております。福島のみなさん、とりあえず獲りましたんで、どこか飾ってもらえるところに寄贈したいなと思います。本当にありがとうございました」と福島の方々に感謝した。
優秀助演男優賞は渡辺のほか『罪の声』の宇野祥平、『浅田家!』の妻夫木聡、『窮鼠はチーズの夢を見る』の成田凌、『罪の声』の星野源が受賞している。
文/山崎伸子