YouTubeでの過去作配信も開始!“沖縄”を描き続ける照屋年之監督に映画制作の魅力やゴリエ復活について聞いた
“あの人”のおかげで、満島ひかりが主演を務めることに!?
そんな彼の最新作は、満島ひかり主演の短編映画『演じる女』だ。沖縄県大宜味村を舞台に余命わずかな認知症の社長と、その“若い妻”との間に隠された秘密を描いた本作は、わずか18分の短編であるにもかかわらず、心の奥深くに染み入ってくる。
「すごく難しい役なので、主役を誰にするか非常に迷っていて。そんな時、いつも僕の映画でお世話になっているスタッフの人から『いま、満島さんと一緒に仕事しているのですが、「照屋監督とよく作品で一緒になるんです」って言ったら、「私も出たいなあ」って言ってましたよ』という内容のメールが来たんです。もちろん、ただ会話の流れで言っただけかもしれないんですが、それもオファーする理由になるじゃないですか。端から“満島ひかり”というすごい女優さんが、予算の少ない短編映画になんて出てくれるわけがないって思ってたから考えてもみなかったんですけど、『これ、イタいふりして言ってみるのもアリなんじゃないですか?』ってプロデューサーに言って(笑)。ダメ元でお願いしてみたらまさかのOKが出たんです。聞けば、『洗骨』の主演だった奥田瑛二さんが、満島さんに『照屋監督はすばらしい監督だから、もしオファーが来たら絶対に断るなよ』って言ってくれていたようです。それを聞いて『奥田さん、ありがたい…!』って思いました」
監督以上のこだわりを見せた!?“女優、満島ひかり”のすごさとは
実際に撮影してみて、照屋は監督として、“女優、満島ひかり”をどう見たのだろうか。
「サバサバしてますね。あと、こだわりだしたら長いです。ラストに歌うシーンがあるんですけど、どう歌うのが一番良いかというところにこだわって、何度も練習をしていました。僕としては『もういいんじゃないかな?』って思うくらい。監督的にはもう充分OKな出来なんですけど、主役が納得できるまで頑張っているのに『帰りませんか?』なんて口が裂けても言えない(笑)。だから、ずっと黙って横で聞いていました」
ワンカットで撮られたというそのシーンは、その甲斐あってか、気迫に満ちた、それでいてせつなく胸に迫ってくるすばらしいシーンとなっている。
「満島ひかりという女優は、長時間アップで画面に映されても観客を飽きさせることはないと思ったんです。歌を歌うだけのシーンだし、体は吊られているから動くこともできないし、彼女の後ろは真っ暗で景色も変わらない。でも、満島ひかりの歌や目の奥に見える感情に人は絶対に心打たれるだろうなと思ったので、満島さんにも撮る前から『これ、ワンカットで最後までいきます』『このカット以外撮りません』と言って、プレッシャーをかけるつもりはなかったんですけど、きっと彼女のなかでも『よし、そう来るか』『やるか』とスイッチが入ったんだと思うんです」