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YouTubeでの過去作配信も開始!“沖縄”を描き続ける照屋年之監督に映画制作の魅力やゴリエ復活について聞いた

インタビュー

YouTubeでの過去作配信も開始!“沖縄”を描き続ける照屋年之監督に映画制作の魅力やゴリエ復活について聞いた

才能や努力の “お裾分け”で作られてきた照屋監督作品

それはまさに、監督と主演女優の一騎打ちとも言える撮影だったに違いない。そんな最新作『演じる女』以外にも、今年の島ぜんぶでおーきな祭では彼の過去作を観られるが、自身の作品のなかで特に思い入れのある作品についても聞いてみた。

照屋が初めて監督した作品『刑事ボギー』
照屋が初めて監督した作品『刑事ボギー』月刊DVD~よしもと本物流~6月号赤版/ [c]2006 吉本興業

「やっぱり最初に監督した『刑事ボギー』は忘れられないですね。あの時の恐怖やつらさ、プレッシャーは一生忘れませんし、映画というものが編集でやっと出来上がるということや、その快感を教えてくれたのも『刑事ボギー』ですから。あと、初めての長編作『南の島のフリムン』も思い出深いですね。長編を撮るとなると、大きなお金や100人単位のスタッフが動き、自分一人では到底作り上げることができない大きなものとなるわけですよ。だから“映画は総合芸術”ってよく言いますけど、本当にその通りだなと。『映画は監督のもの』とか言われますけど、それはただ会社でいう代表者の一人なだけであって、いろんな役者やスタッフの方々の才能や努力の “お裾分け”の塊が映画なんですよね」

様々な作品で活躍する女優、江口のりこの主演作『NAGISA』
様々な作品で活躍する女優、江口のりこの主演作『NAGISA』[c]Okinawa Prefectural Government. All Rights Reserved.

数多く手掛けてきた沖縄地域発信型の短編映画のなかでは、「やっぱり人生の転換期となった『born、bone、墓音。』が印象深い」という照屋。「あとは、江口のりこ主演で撮った『NAGISA』も好き。一番最初に撮った地域発信型映画は、糸満市を舞台にした『税金サイボーグ・イトマン』なんですけど、税金で作ったサイボーグが税金のムダ遣いだっていう内容で、市の役場の人たちに心配されたことはすごく覚えてます(笑)。次に作った『ロクな人生』も思い入れがあるし、国頭村で撮った『やんばるキョ!キョ!キョ!』ももちろん印象に残っています。そう考えたらいっぱいあるなあ。ダメだ!全部です (笑)」とと笑顔で明かす。

ぶっ飛んだ設定で役場の人たちを困惑させたという『税金サイボーグイトマン』
ぶっ飛んだ設定で役場の人たちを困惑させたという『税金サイボーグイトマン』[c]Okinawa Prefectural Government. All Rights Reserved.

15年ぶりにYouTubeで復活を果たしたゴリエへの想い

現在は次回作の準備中だという照屋は、「本当にもう、早く撮りたくてムズムズしています」と、そのもどかしさを吐露。今後は犯罪モノにも挑戦してみたいと意気込む一方で、最近ガレッジセールのゴリとしても、かつてバラエティ番組「ワンナイR&R」で人気を博したキャラクター、ゴリエが宮迫博之のYouTubeチャンネルをきっかけに復活し、なにかと話題を呼んでいる。

宮迫博之のYouTubeチャンネルをきっかけに復活したゴリエ
宮迫博之のYouTubeチャンネルをきっかけに復活したゴリエ[c]ゴリ★オキナワ

「宮迫さんから『ゴリ、どうや?』と誘われてビックリしたんですけど、復活までには壁が3つあったんです。まず、宮迫さんと絡むことを吉本がOKするのかということだったのですが、会社はすぐOKしてくれました。2つ目はフジテレビがOKしてくれるかどうかだったんですけど、それもすぐクリアできました。で、最後の大きな壁が、今年49歳になる僕が15年ぶりにゴリエを演じることができるのか。痛々しくならないのか。そこでしたね」

「50歳近いおっさんが『ペコリ〜』とか『喜び〜』とか言って、痛々しく見えるのもやだな、恥ずかしいな」という思いがあり、当日まで怯えていたそうだが、「こういう話が来たのも巡り合わせかなと思って」やる決心をしたという。「フジテレビさんがゴリエの衣装を15年間も保管してくれていて、その当時のメイクさんも探し当ててくれたんです。実際にメイクをしてみたら、案外違和感なかったんです」

いま、ゴリエを演じて痛々しく見えないかと悩んだという
いま、ゴリエを演じて痛々しく見えないかと悩んだという

そして、宮迫演じる“轟さん”との15年ぶりに共演については、「宮迫さんと絡んだ瞬間、一気に15年が戻るのが不思議」だったそうで、「『懐かしい〜!』『そうそう、こういう絡みあった!』と自然と楽しめたんですよね」とニッコリ。


「動画のなかで、轟さんに飛び蹴りをするつもりはなかったんですけど、そこはあうんの呼吸というか。『これ、やったほうがおもしろいかな』って思うと、2人でそういう流れに持っていっちゃうところは芸人あるあるというか。心の中で握手するんですよ。芸人だからこそわかる『こうやったほうがおもしろくなるよな』っていうあの感じがゾクゾクしました。誘ってくれた宮迫さんにも感謝してますし、反響もすごく大きかったので、本当に『やってよかったな』って思いましたね」

芸人としても、映画監督としても、“人を楽しませる”ことが最大の喜び

お笑い芸人としても、映画監督としても、とにかく“人を楽しませる”ことに最大の喜びを感じるという照屋。その気持ちを、「僕、仕事が好きなんですよ。一生懸命考えたものが形になって、人が笑ったり、『おもしろかったよ』って言ってもらえる。その栄養をもらうのが大好きなんです。だから、その蜜がほしくて一生懸命羽を動かしながら花に向かって飛んでいくという感じですね」と、自身をミツバチに例えて表現してくれた。

過去作から照屋監督の成長度合いも垣間見ることができる
過去作から照屋監督の成長度合いも垣間見ることができる

最後に、これから照屋監督の作品に触れる観客にメッセージをもらった。
「初期作になればなるほど、脚本作りも幼稚だし、編集も甘いし、ボロが見えるんですよね。でも、初々しさがあったり、『やっちゃえ!』みたいな突拍子もないことをやれているのも実は初期の作品なんです。だから、過去作を何作か観てもらうと、僕の映画作りの成長度合いも見ていただけると思います。幼少期から親が撮り続けたアルバムを1ページ目からみんなに見られるような気持ちでちょっと気恥ずかしいんですけど、そこも楽しんでもらえたらうれしいです」

取材・文/落合由希


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