ワンダーウーマン、ジャスティス・リーグ、マルチバース…ジム・リーが語るDCの未来
「マルチバースの神話を拡大させていくことは、とても楽しい」
そんなワンダーウーマンをはじめ、複数のDCヒーローたちが集結した『ジャスティス・リーグ』(17)は、作品の完成間近にザック・スナイダー監督が降板し、後任を務めたジョス・ウェドン監督によって当初想定されていたものとは異なる作風へ大幅な変更が加えられることとなった。そのため多くのファンからスナイダー監督の構想通りの“スナイダーカット”を求める声が相次ぎ、「#ReleaseTheSnyderCut」という嘆願運動が勃発。その効果もあって先日、北米ではHBO Maxで約4時間にも及ぶ大作『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(5月26日よりDL&デジタルレンタル配信開始/6月25日4K UHD&ブルーレイ発売)が公開されることに。
「DCユニバースはとにかく広大なので、ファンの希望を叶えるだけの器がある。なので今回のような『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』に対するファンの熱烈なサポートには声援を送りたい」とにこやかに語るリーは、「キャラクターを愛するファンがいることは、クリエイターたちにとってとてもうれしいこと。いまは多くの監督たちがさまざまなキャラクターとストーリーラインを練っているので、まだまだ語れるストーリーはあると信じています。今後もDCの歴史を愛するファンの皆様の期待に応えられるはずだとワクワクしています」と、DCファンの熱量あふれる行動力を支持した。
今後のDCEU作品を占う一つのキーワードとして挙げられるのは「マルチバース」。複数の並行世界が存在し、これまで異なる世界線のなかで展開していたヒーローたちの物語が一つの世界線に集められていくというものだ。その起点として2022年に公開が予定されている『The Flash』では、DCEU作品でベン・アフレックが演じたバットマンと、1990年代に人気を博したティム・バートン監督版でマイケル・キートンが演じたバットマンが登場することが報じられている。
こうしたマルチバースは、今度のDC作品にどのような影響を与えていくのだろうか?
「マルチバースはDCユニバースにおいて欠かせないベースになっているということは確実に言えます」とリーは強調する。「そもそもマルチバースを導入して広めていったのはDCが最初でした。それはたしか1961年のことで、それ以前にも並行世界への言及はあったかもしれませんが、我々がたったひとつの地球を生きているわけではなく、いまいる時空と少しだけ違うパラレルワールドが存在し、そこに複数のスーパーマンやバットマンが存在するという神話を確立させたのです」と、DCとマルチバースの歴史を振り返っていく。
「その神話を拡大させていくことはとても楽しい作業で、DCはそれをもう60年継続してきた。僕がマルチバースを知ったのは8歳か9歳の頃で、“アース2”や“アース3”の存在や、そこには違うバージョンのジャスティス・リーグが存在することを知ってかなりの衝撃を受けました。映画の世界でもこれが繰り広げられたら、世界中のDCファンに相当なインパクトを与えることになるでしょう。これからそれを発見する方々をとてもうらやましく思います」。
最後にリーは、6月25日(金)より日本で初開催される特別総合展「DC展 スーパーヒーローの誕生」についてメッセージを寄せる。
「僕が日本の漫画を発見したのが1980年代。それまではアメコミしか知らなかったので、アメコミの原理から大きくかけ離れた日本の漫画を知ったときには、新たな言語を学ぶかのような感覚を味わい、人生を変えるほどの衝撃を受けました。逆に日本の漫画しか知らない方々にとっては、アメコミのビジュアル言語やストーリーテリングの法則が新たな発見をもたらしてくれることでしょう。僕がかつて日本の漫画から感じたことと同じような驚きを、今度は日本の皆様にも感じてもらえたらうれしいです」。
取材・文/久保田和馬