宇宙(そら)から音が降り注ぐ…『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ドルビーアトモスの音響を体感レポート
『機動戦士ガンダム』のアムロとシャアの最後の戦いを描いた劇場作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88)。その戦いの場に立ち会い、彼らの意思を引き継いだ青年ハサウェイ・ノアを主人公に、『逆襲のシャア』から12年後の世界を描いた物語『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が6月11日(金)より公開される。本作は、シリーズの劇場公開作としては初となる、立体音響技術「ドルビーアトモス」での公開を前提として音作りがなされている。今回は一足早く、その“ドルビーアトモス”版を体験レポートしていこう。
そもそも「ドルビーアトモス」とは?
ご存知の方も多いかもしれないが、まず簡単に「ドルビーアトモス」について解説しよう。現在の映画館では、スピーカーを正面だけではなく、側面や後方にも配置して、奥行きのある音響空間を作りだす立体音響は一般的となっている。だが、それでも航空機の飛行音や天候の変化などを感じる「上からの音」は再現することなどが難しく、どうしても平面的な音響となってしまっていた。
しかし、「ドルビーアトモス」は天井にもスピーカーを配置することで、上下左右全体から包み込むような、3次元的な音響空間を作り出すことができるようになったのだ。そんなドルビーアトモスが作り出す音響空間では、どんな「ガンダム」の映像体験ができるのだろうか?
音が演出するモビルスーツの脅威
本作の舞台は、全高20mほどの人型機動兵器「モビルスーツ」が運用される世界。見上げるほどの巨大な人型の兵器が動き回ることの影響が、どれほどの威圧感や恐怖感を与えるのか?物語の中盤で起こる市街地での戦闘シーンでは、いままで表現されなかったモビルスーツの脅威を目の当たりにすることになる。
劇中で戦闘に巻き込まれたハサウェイとヒロインのギギは、モビルスーツ同士が建物を破壊しながら戦う状況で、安全な場所を求めて逃げ惑うことになる。反地球連邦政府運動を行う組織「マフティー」が所有するモビルスーツ「メッサー」が、敵対する地球連邦政府の高官が宿泊するホテルを攻撃したことから始まるこの戦いでは、連邦軍のモビルスーツ「グスタフ・カール」も出撃し、空中での戦闘が展開される。空中から地上へと戦闘の場が移動するなかで、モビルスーツの放ったビームが建物や地面を焼き、逃げ惑う人々にガレキが降りかかる。
ハサウェイとギギはそんな混乱のなかを逃げ回るが、上方で繰り広げられるモビルスーツの戦闘、その戦いが周囲に及ぼす影響で発生する攻撃音や破壊音が、三次元的な立体音響により、まさにその場にいるような形で表現されている。まるでシリーズの舞台である“宇宙世紀”の世界に降り立ったような臨場感が味わうことができるのだ。