アンミカが語る、『いのちの停車場』から受け取った「いまを大切に生きる」ポジティブなメッセージ
「大人だけではなく、子どもにも観てほしい映画。『誰かを愛し、愛されて自分の人生があるんだ』と気づかせてくれる」
“愛と和”を胸に生きる彼女の原点は「すべて両親のおかげ」だそうで、「本作を観ながら、両親のこともたくさん思いだしました。両親には、感謝することばかり」と目を細める。
「私は幼少期に、顔にケガをしたことがあって。階段から落ちて、口の中をざっくりと切ってしまったんです。内出血をして、歯茎も真っ黒になってしまって。子どものころは、周囲から『お化け!』と怖がられることもあって、外見にコンプレックスがあったんです。でも両親は、“私にしかない個性を伸ばす”という方針で育ててくれました。ものすごく貧乏で、冷蔵庫もないような家だったんですが、みんなで歌を歌って、毎日が『天使にラブ・ソングを…』のような明るく、おもしろい家庭(笑)。お母さんと毎日、笑顔のレッスンをしたりして、そうしているうちにコンプレックスを克服できるようになりました」。
また、「私たち兄弟、姉妹は学校から帰ると、バーっとお母さんに話しかけるんですが、するとお母さんは『誰が、いつ、どこで、なにを、どう感じたの?』という聞き方をするんです。そして話を聞く側には、『うなずき、共感して、質問をしなさい』と教えてくれた。それって、すべていまのお仕事に生かすことができているんです。大切なことをたくさん教えてくれて、両親には本当に感謝しています」と語る。
続けて「天国にいる両親が“人生のしまい方”を見せてくれたことで、私たち5人の兄弟、姉妹もいまを大事に、一生懸命に生きることができるようになって、人生を堪能できるようになりました。この映画を観て、改めてそう思いました。本当にたくさんの気づきのある映画」としみじみ。
「いまは、おじいちゃんやおばあちゃんと暮らしている家庭も少なくなってきているので、死を身近に感じられない子どもたちもいるかもしれません。たとえば本作には、“最後の願い”として、海に行きたいと願う少女が登場しますが、想像力や共感力がなければ、彼女の痛みに思いを馳せることができないかもしれないですよね。また、『命は誰のもの?』と考えさせてくれる映画でもあるので、本作を観れば『自分の命は自分だけのものではない、関わった人の愛の色がついてくるものなんだ』と感じることもできる。命の重み、尊さを知るうえでは、大人だけではなく、子どもたちにも観てほしい映画だなと思いました。『誰かを愛し、愛されて自分の人生があるんだ』と気づかせてくれたし、命の大切さを感じた時に、自分の人生観もキラリ、ガラリと変わるような映画だと思います」と熱っぽく語っていた。
取材・文/成田おり枝