【今週の☆☆☆】マシュー・マコノヒーが無双状態な『ビーチ・バム』、アカデミー賞受賞作『オクトパスの神秘』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【今週の☆☆☆】マシュー・マコノヒーが無双状態な『ビーチ・バム』、アカデミー賞受賞作『オクトパスの神秘』など週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】マシュー・マコノヒーが無双状態な『ビーチ・バム』、アカデミー賞受賞作『オクトパスの神秘』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、放蕩詩人と仲間たちの狂騒の日々を描くコメディに人間とタコのラブストーリーをつづるドキュメンタリー、水原希子&さとうほなみ主演の鮮烈なロードムービーの、刺激的な3本!

悪酔い上等!オトナのためのお伽噺…『ビーチ・バム まじめに不真面目』(公開中)

反省も成長もしない主人公の刺激的な生きざまに圧倒される!(『ビーチ・バム まじめに不真面目』)
反省も成長もしない主人公の刺激的な生きざまに圧倒される!(『ビーチ・バム まじめに不真面目』)[c]2019 BEACH BUM FILM HOLDINGS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

のべつまくなし、キメまくっているのだ。って何を? ハッパを。しかも酒も飲みまくり、セックスだって仕放題。ハチャメチャだけども「だってそれが人間だもの」な暴走オヤジが主人公の冒険譚──観ると合法トリップさせてくれちゃうハイパー・コメディなのである。天才にして放蕩な詩人ムーンドッグを演じた、いや、同化してみせたマシュー・マコノヒーが無双状態! バラエティに富んだ豪華コラボ陣も皆、奇天烈キャラで狂演し、監督&脚本の元アンファンテリブル(恐るべき子供)ことハーモニー・コリンが目指した世界はといえば、「一期は夢よ、ただ狂へ」。悪酔い上等な、目と耳で何度もキメたくなるオトナのためのお伽噺だ。(ライター・轟夕起夫)

他者とかかわることや自身の心の声に耳を傾ける大切さ…『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』(配信中)

人生に疲れた映像作家が、“彼女”と出会い癒されていく(『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』)
人生に疲れた映像作家が、“彼女”と出会い癒されていく(『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』)Netflix映画『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』独占配信中

『ノマドランド』(公開中)や『ファーザー』(5月14日公開予定)に注目が集まった第93回アカデミー賞において、長編ドキュメンタリー賞を獲得したのが『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』。美しいケルプの森が広がる南アフリカの海を舞台に、ある一匹の雌のタコをカメラは追い続け、岩や珊瑚に擬態し、貝殻を鎧のように身に纏って外敵から身を守るなど、想像以上の知能の高さを持った“彼女”の生態に驚かされてしまう。しかし、この作品は単なるネイチャードキュメンタリーの枠には収まらない。本作の製作を務めた映像クリエイターのクレイグ・フォスターと彼女との種族を越えた絆の物語にもなっているのだ。故郷の海で彼女に偶然出会ったフォスターは、毎日のように潜ってはその日々を記録し始める。一方、彼女も人間である彼に興味津々で、徐々に距離を詰めて体にくっつくといった愛くるしいその姿はまるでネコのよう。別のドキュメンタリー番組によると、タコが人間を認識し、懐くことも実際にあるようなので、おそらく彼女もグレッグになにかを感じ取ったのだと考えられる。また、グレッグは仕事の重圧に押し潰され、心が擦り減ってしまっていたのだが、彼女と交流することで再びカメラを回す意欲もわいてくるなど、ある種のセラピーのような効果も生んでいる。様々なストレスにさらされる現代社会。“タコと人間”という奇妙な信頼関係を通して、他者とかかわることや自身の心の声に耳を傾ける大切さを体感してほしい。(ライター・平尾嘉浩)


全編に“映画的呼吸”が息づいている…『彼女』(配信中)

レイ役の水原希子と七恵役のさとうほなみは、共に初主演(Netflix映画『彼女』)
レイ役の水原希子と七恵役のさとうほなみは、共に初主演(Netflix映画『彼女』) Netflixにて、全世界独占配信中

10年ぶりに再会した初恋の相手・七恵が、夫から激しいDVを受けていると知ったレイは、その夫を殺害。七恵とともに、行くあてのない逃避行が始まる…。中村珍のコミック「羣青(ぐんじょう)」を原作にしたセンセーショナルな物語は、恋人たちを演じた水原希子、さとうほなみの、文字どおり全身全霊の愛の表現に圧倒される。「順撮り」にこだわった監督の意図どおり、2人の感情の変化がリアリティをもって迫ってくるし、10年前の回想もスムーズに挿入。それぞれの切実な思いに否応なしに感情移入させる展開だ。犯罪をきっかけにした女同士の逃避行は名作『テルマ&ルイーズ』も連想させるが、こちらはラブストーリーの純度が濃厚。レイが地下のバーに入っていく冒頭の長回しの緊迫感や、ハードな描写とメロウな名曲との重なりなど、全編に“映画的呼吸”が息づいており、配信とはいえ、倍速では観ないでほしい一作。(映画ライター・斉藤博昭)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言の影響により、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県にある劇場が引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。

構成/サンクレイオ翼

関連作品