吉永小百合、東京・大阪の映画館再開に「とても幸せ」広瀬すずと食事の約束も
6月1日、緊急事態宣言の延長に伴う休業要請が一部緩和され、東京都内の映画館が営業を再開した。これによって全国47都道府県すべてでの公開がかなった映画『いのちの停車場』の全国公開記念舞台挨拶が丸の内TOEIで開催され、吉永小百合、広瀬すず、田中泯、成島出監督が登壇。公開後、初めて観客を前にした舞台挨拶となり、吉永は「『いのちの停車場』の東京の初日に来てくださいまして、本当にありがとうございます」と笑顔を見せ、「なんとかして映画館を開けていただけないだろうか、映画館で映画を観ていただくことができないだろうかと思い、悩みました」と胸の内を吐露した。
現役医師であり作家としても活動する南杏子の同名小説を、成島出監督が吉永主演で映画化した本作。金沢にある「まほろば診療所」を舞台に、東京からやってきた医師の咲和子(吉永)、彼女を尊敬する青年の野呂(松坂桃李)、看護師の麻世(広瀬)、彼らを見守る「まほろば診療所」の院長の仙川(西田敏行)が、患者やその家族に寄り添っていく姿を描く。
吉永は「スクリーンからは飛沫は飛びませんし、お客様同士がいま、話をすることもほとんどんなくなっています。そういうなかで、映画の製作者の方たち、私たち現場で作る側、そして興行主の方たちが声を揃えて、“なんとか映画館を再開してほしい”という声をあげました。マスコミの方たちもとても応援してくださり、映画ファンの皆さまも“待っているよ”と言ってくださいました」と述懐。「今日、このような形で映画を観ていただけますこと、東京、大阪がオープンしたこと、本当に、本当にうれしく思っています」と力を込め、会場から拍手を浴びた。
広瀬も「まずは今日、吉永さんがおっしゃったように東京の初日に足を運んでくださった皆さん、本当にありがとうございます」と感謝。「このように映画を届けられたことが、肌で実感できる、いま、この瞬間がすごくすごくうれしいです。一人でも多くの方にこの映画が届いてほしい」と願っていた。
初共演を果たした吉永と広瀬だが、吉永は「ただひとつ心残りは、一度もすずちゃんとご飯を一緒に食べられなかったこと。仕事が終わったら、お部屋でルームサービスというのがずっと続きましたから、それがちょっと残念です」とコロナ禍ということもあって、撮影、宣伝活動を通しても一緒に食事ができなかったと肩を落とす。「今度いつかね!」と誘うと、広瀬も「ぜひ!」と声を弾ませ、2人で明るい笑顔を見せていた。
また最後には「東京、大阪で初日を迎えました。とても幸せです」と再び喜びをかみ締めた吉永。「ほかの職業では、まだまだ苦しい想いをしていらっしゃる方がたくさんいる。1日も早くこういう状況から、いい状況になりますように、少しずつ私たちも努力していかなければいけないと思います。劇中で私がすずちゃんを思いきりハグしたように、みんなが抱き合ったり、握手したり、そういうことができますように」と未来に想いを馳せると、会場からは大きな拍手が上がっていた。
取材・文/成田おり枝