狂気的な“愛”にゾクッ!「ラチェッド」&『RUN/ラン』主演のサラ・ポールソンから目が離せない
サラ・ポールソンという女優を知っている人の多くは、おそらくは海外ドラマファンに違いない。2011年に放映が開始された「アメリカン・ホラー・ストーリー」で、エミー賞に5度ノミネートされた実力派アクトレス。同作でブレイクする以前に同性愛者であることをカミングアウトしており、ハリウッドでは微妙な立場に置かれていたが、どんな役でも恐れることなくトライする、そんな彼女の評価はうなぎのぼり。ハリウッドでは遅咲きの部類に入るが、現在進行形で彼女はメキメキと注目度を高めている。
『カッコーの巣の上で』に登場する恐怖の看護師長を怪演
ポールソンの勢いを語るうえで見逃せないのは、Netflixで配信されているオリジナルドラマシリーズ「ラチェッド」。第48回アカデミー賞にて作品賞や監督賞のほか5部門を受賞した『カッコーの巣の上で』(75)のスピンオフ作品だ。
同作は映画ファンにはご存知の通り、刑務所での拘束を逃れるために心の病を装って精神病院に入った囚人の、自由を求める飽くなき戦いを描いた名作で、主演のジャック・ニコルソンはアカデミー賞主演男優賞を射止めて一躍人気スターとなった。
一方で、彼を苦しめ、いたぶる威圧的で徹底管理主義の看護師長という、ヴィラン的存在を怪演したルイーズ・フレッチャーも同主演女優賞を受賞。「ラチェッド」は、この悪魔のような看護師長の謎に包まれた過去を描いたストーリーだ。そして、本作でラチェッドを演じているのがポールソン。「アメリカン・ホラー・ストーリー」では患者として精神病院に収容されるキャラクターだったが、ここでは逆の立場を演じることになる。
カリフォルニアの精神病院に看護師の職を求めてやって来たラチェッド。気品と知性を感じさせる佇まいとは裏腹に、目的のためなら犯罪もいとわない策略家だ。彼女はなぜ、この人里離れた地にやって来たのか?「glee/グリー」などで知られるドラマの名手、ライアン・マーフィの製作の下、「アメリカン・ホラー・ストーリー」に続いて彼と組んだポールソンは、その存在感を遺憾なく発揮。強烈な欲望と執念を胸の奥深くに秘めた、ミステリアスなラチェッド像を作りだし、観る者の目を引きつける。彼女のカリスマ性漂う好演が賞賛され、第2シーズンの製作も決定。今後の展開が大いに気になるところだ。