池松壮亮に石井裕也が感謝!オール韓国ロケ『アジアの天使』は「共同製作者として組めた作品」

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池松壮亮に石井裕也が感謝!オール韓国ロケ『アジアの天使』は「共同製作者として組めた作品」

『舟を編む』(13)の石井裕也監督作『アジアの天使』(7月2日公開)のプレミア上映会が、6月22日にテアトル新宿で開催され、池松壮亮、オダギリジョー、子役の佐藤凌、石井裕也監督が登壇。韓国からはヒロインのチェ・ヒソや、その兄役を演じたキム・ミンジェもリモートで参加した。

『アジアの天使』は、95%以上が韓国のスタッフ、キャストという座組で、石井監督がオール韓国ロケを敢行した人間ドラマ。妻を失い韓国にいる兄の元へ行く剛(池松)と、家族関係に悩むタレントのソル(チェ・ヒソ)。2人の家族がソウルで出会い、新しい家族の形を模索していく。

石井監督と5度目のタッグになる池松は今回のオファーを受け「非常に感動しました」と言う。「コロナ以前でしたが、当時は国と国の関係もあまり良くなくて。でも、とにかくすぐにでも、これをなんとか成立させなければと思いました」と当時を振り返った。

青木剛役の池松壮亮
青木剛役の池松壮亮

石井監督は「池松くんとはいろんな関係を築いてきましたが、今回は監督と俳優という関係性を超えた共同製作者として初めて組めた作品になったかなと」と熱い信頼関係を口にした。

オダギリは池松について「芝居をちゃんと交わしたのは今回が初めてだったかも。それはもう、すてきでした。作品に対する誠意が感じられる役者は少ないけど、どういう意識で作品に向かうかとか、どういう意識でやっているかは本当は大切で。それを現場の池松くんの居方から感じ取ることができる。とても稀で貴重な俳優だし、日本映画を引っ張っていく逸材だと思います」と称える。


池松も「オダギリさんには数え切れないくらいたくさん助けてもらいまいたし、役柄もあいまって本当に笑わせてもらったし、そもそもこの映画はたくさんのピンチを切り抜けてきたんですが、その度にオダギリさんが助けてくれました。本当に天使です」とオダギリに感謝した。

剛の兄、青木透役のオダギリジョー
剛の兄、青木透役のオダギリジョー

また、リモートで参加したチェ・ヒソは「3~4週間、映画を一緒に撮ったのも楽しかったけど、終わったあとで食事をしたり、海辺を歩いたり、皆さんといっしょに過ごすことができたことがうれしくて。おいしい韓国料理を食べたりするシーンが印象に残ってます」と撮影の思い出を語り、池松について「目がすごく強いんです。いい意味で。その目を見つめるだけで、いろんな感情を見つけることができました。また機会があればぜひ一緒に共演したいです」とラブコール。

キム・ミンジェも「最初は慣れなくて、ぎこちないところもあったけど、撮影が進むにつれて、本当の家族のような気持ちになりました。あれほど別れで泣いたのは初めてで、本当の家族じゃないけど、家族として気持ちを分かちあえたことが幸せでした」と感激する。

メガホンをとった石井裕也監督
メガホンをとった石井裕也監督

石井監督は、韓国キャストの言葉を受け「なんてピュアな顔をして、なんてピュアな態度で舞台挨拶に臨んでくれているんだろうと。こういう人たちと一緒に映画を作れたこと、映画という不確かなものをみんなで真摯につくれたことが奇跡だと思います」と言葉をかみしめた。

また、最後に石井監督は「いままでで一番大変な映画でした。撮影は本当に楽しかったけど、そこに行き着くまでは本当にしんどくて、ノイローゼに、3、5回くらいなったくらい大変した。でも、僕が大変だったってことは、スタッフもキャストもいろんな大変さを抱えてたんです。でも、映画にはそれがほとんど映ってなくて、びっくりするくらいの優しさや愛情がたくさん入ってたってことがものすごい驚きでした」と感無量の表情を見せた。

取材・文/山崎伸子

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