“負け犬”のリベンジ描く『東京リベンジャーズ』…隅田川テラスなど“熱い”想いが息づくロケ地に迫る!

コラム

“負け犬”のリベンジ描く『東京リベンジャーズ』…隅田川テラスなど“熱い”想いが息づくロケ地に迫る!

真冬の寒さのなか、北村匠海らの熱心さが印象的だった隅田川テラス

2度目のタイムリープをしたタケミチが、トーマンのツートップであるマイキー(吉沢)とドラケン(山田)に初めて出会う喧嘩賭博のシーン。大勢のヤンキーが広い階段に集まって、タケミチとトーマンのメンバーであるキヨマサ(鈴木伸之)のタイマンを、熱狂しながら見物する様子はまさに原作コミックのイメージどおり。広々とした階段があり、なおかつ大人数のキャストとスタッフがいても、混乱なく撮影できる場所として選ばれたのが隅田川テラスだ。

タケミチの勇気を振り絞る姿が印象的な喧嘩賭博のシーンは隅田川テラスで撮影
タケミチの勇気を振り絞る姿が印象的な喧嘩賭博のシーンは隅田川テラスで撮影[c]和久井健/講談社 [c]2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

隅田川の両岸約47kmのうち、約28kmの区間がきれいに整備され、都心の貴重な水辺空間として、ウォーキングやランニングをする人たちにも人気の隅田川テラスだが、ロケが行われたのは、もともと人通りがほとんどない墨田区の堤通付近。派手なシーンにもかかわらず、ギャラリーが集まることはまったくなく、じっくりと撮影に集中することができたという。

カメラを川に向けると、東京スカイツリーが見えるほのぼのとした雰囲気が出てしまうため、あくまでも首都高速の下の階段部分を中心に撮影。美術装飾では、落書きを施したコンクリートパネルを細かいピースで用意し、それらをつなぎ合わせてもとの壁面に貼ったり、壊れた自転車や工事用具、張り紙やゴミなどを配置したりと、時間をかけて不良の集まる荒廃した広場の雰囲気を演出していった。

【写真を見る】劇中最強のキャラ、マイキーを完全再現した吉沢亮
【写真を見る】劇中最強のキャラ、マイキーを完全再現した吉沢亮[c]和久井健/講談社 [c]2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

このシーンの撮影に、最初に取り組んだのは2020年3月末だったが、コロナ禍の影響で一時中断。2021年1月の追加撮影を合わせて、トータルで5日間が費やされた。夏という設定のシーンだったため、特に2回目の1月は、半袖姿のキャストたちが寒さを耐え忍びながら撮影を行う厳しい現場に。そんななか、主役の北村がちょっとした空き時間を見つけては、アクション監督の諸鍛冶裕太に指導を仰ぎ、何度も入念にアクションのチェックをする姿が印象的だったそうだ。

隅田川テラスは“ロケのメッカ”として知られており、勝鬨橋付近では北野武監督作『アキレスと亀』(08)、中央大橋の印象的な大友啓史監督作『3月のライオン前・後編』(17)など、多くの映画やテレビドラマ、CMで使われてきた。隅田川にかかる橋はそれぞれに独特の趣があり、クリエイティビティを刺激し続けている。そんな河岸を、首都高速とその橋脚や階段の位置関係から違和感なく劇中にフィットさせた創造力もまた、映画づくりの醍醐味と言える。

主人公のタケミチを北村匠海が全力で演じる
主人公のタケミチを北村匠海が全力で演じる[c]和久井健/講談社 [c]2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

普段とは違う顔も見られる土手を使ったシーンが次々と登場

現在パート、過去パートともに、川沿いの土手が印象的なシーンで何度も登場する。例えば、学校を抜けだしたタケミチ、マイキー、ドラケンが自転車でのんびり走る土手は、荒川の綾瀬橋付近。タケミチとアッくんが自転車で2人乗りをしながら将来を語るシーンは、江戸川の流山橋付近など、何か所もの河川敷で撮影が実施されている。広い空とキラキラ光る川面、ゆったりとした空間は、観ているだけで清々しい気持ちになり、キャラクターたちのいつになく素直で優しい表情にもグッと胸をつかまれる。

江戸川の流山橋付近で撮影されたタケミチ&アッくんの自転車2人乗りのシーン
江戸川の流山橋付近で撮影されたタケミチ&アッくんの自転車2人乗りのシーン[c]和久井健/講談社 [c]2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

ほかにも、本作では様々なロケ地で撮影したシーンを使用し、 “東京”という舞台を作り上げている。半殺しにされ、これからの日々に絶望するタケミチはボロボロの姿のままヒナに会いに行き、優しく傷の手当てをしてもらう。その帰り道、中学生のナオトに遭遇するヒナのマンション近くの公園は、千葉県流山市にある平和台2号公園。住宅街の公園にしては広めの面積で、タケミチはチンピラに絡まれていたナオトを助け、「10年後に死ぬ運命にある姉を守れ!」と必死の想いで訴えたことがきっかけとなり、未来が変わり始める。


タケミチの人生唯一の彼女、ヒナを今田美桜が演じる
タケミチの人生唯一の彼女、ヒナを今田美桜が演じる[c]和久井健/講談社 [c]2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

また、最初のタイムリープから戻ったタケミチが、大人になったナオトと再会する駅に、千葉県成田市の京成電鉄東成田駅。ヒナと出かけた夏祭りの途中、タケミチがキヨマサたちにボコられてしまう神社の人気のない場所には、神奈川県伊勢原市にある相模國三之宮 比々多神社を使用するなど、思わず訪ねてみたくなるようなロケ地が多数登場する。その撮影にまつわるエピソードを知れば、さらに作品を観る楽しみが増えるに違いない。

文/石塚圭子


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