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江野スミ&古屋兎丸による劇中漫画にも注目。『キャラクター』美術のこだわりに迫る

コラム

江野スミ&古屋兎丸による劇中漫画にも注目。『キャラクター』美術のこだわりに迫る

『影裏』に『花束みたいな恋をした』…数々のヒット作を支える美術監督の存在

「家もキャラクターだ」という劇中のセリフをそのまま表すように、登場人物と同様に重要な役割を果たすこれらの空間を手がけたのは、『許されざる者』(13)などで2度の日本アカデミー賞優秀美術賞を獲得している美術監督の杉本亮。芥川賞受賞作を映画化したミステリー『影裏』(20)、Amazonプライム・ビデオで配信中のドラマ「誰かが、見ている」、菅田と有村架純が共演した『花束みたいな恋をした』(公開中)まで、ジャンルを問わず数々のヒット作を支えてきた。かつてはジブリ作品で有名な種田陽平にも師事していた彼は、美麗かつ“物語る”セットやロケーションを構築し、今作でも観る者を圧倒している。

禍々しさに言葉を失う両角の部屋
禍々しさに言葉を失う両角の部屋[c]2021映画「キャラクター」製作委員会

劇中漫画のダークな世界観に惹き込まれる…

劇中に登場する山城の作品「34(サンジュウシ)」は、「美少年ネス」や「亜獣譚」などで人気を博す漫画家、江野スミが実際に執筆している。繊細なタッチで描くダークな世界観に定評のある江野が、殺人鬼の両角(Fukase)を完璧に2次元化させた。血まみれになりながら、ナイフを持って獲物に襲い掛かる姿にゾっとさせられると同時に、どこかカリスマ性を感じさせるオーラにも惹かれてしまうはず。


江野スミが執筆した山城の「34(サンジュウシ)」
江野スミが執筆した山城の「34(サンジュウシ)」[c]2021映画「キャラクター」製作委員会

また、山城の師匠でオカルト漫画家の本庄勇人(宮崎吐夢)の劇中画は、『帝一の國』(17)の原作者でベテラン漫画家の古屋兎丸が担当。『帝一の國』は今作と同じ菅田主演&永井聡監督で映画化した所縁の作品だ。菅田も大ファンを公言する古屋と、再びコラボを果たすこととなった。ちなみに、これらの劇中漫画は、7月3日(土)~25日(日)まで渋谷hmv museumで開催される「キャラクター展」で展示予定(大阪は既に終了)なので、こちらも要チェック!

「帝一の國」などで知られる古屋兎丸が、山城の師匠の漫画を担当している
「帝一の國」などで知られる古屋兎丸が、山城の師匠の漫画を担当している[c]2021映画「キャラクター」製作委員会

下積み時代は辛く厳しいかもしれないが、作品が当たれば“億万長者”も夢じゃない漫画家。キャストたちの演技合戦、スリリングな展開だけではなく、『キャラクター』ではその表と裏を丁寧に描出している。これから観る人、リピート鑑賞を予定しているファンも、ぜひこれらの細かな美術のこだわりにも注目してみてほしい。

文/水越小夜子

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