映画目利きの映画館スタッフが語る『サイダーのように言葉が湧き上がる』の魅力とは?

コラム

映画目利きの映画館スタッフが語る『サイダーのように言葉が湧き上がる』の魅力とは?

アニメーション映像および音楽制作レーベル、フライングドッグの10周年記念作品として制作された『サイダーのように言葉が湧き上がる』(7月22日公開)。人付き合いが苦手な少年チェリー(声:市川染五郎)と、容姿にコンプレックスを抱える少女スマイル(声:杉咲花)のひと夏の青春が紡がれていく。本作を試写会で一足早く鑑賞した劇場関係者のコメントとともに、作品の魅力について迫っていきたい。

純粋な男女の青春模様が心に刺さる…

【写真を見る】美しい映像、圧巻の音楽が魅力の『サイダーのように言葉が湧き上がる』場面写真を一挙公開!
【写真を見る】美しい映像、圧巻の音楽が魅力の『サイダーのように言葉が湧き上がる』場面写真を一挙公開![c]2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

ある地方都市のショッピングモール。偶然互いのスマートフォンを取り違えてしまったことから出会ったチェリーとスマイルは、SNSを通じて少しずつ距離を縮めていく。ある日、アルバイト先であるデイサービスで、チェリーが世話をしている老人フジヤマが思い出のレコードを探し続けていることを知った2人は、捜索を手伝うことに。一緒に行動することで急接近していく2人だったが、ある出来事を機に心がすれ違ってしまう。

「きゅんきゅんした!この季節に観られてよかった。夏が楽しみになった」(20代・女性)
「ドキドキして、最後は感情がこみ上げてきた」(20代・男性)
「思い出は消せないものだと共感した」(50代・女性)


 レコード探しをするなかで距離を急速に縮めていく二人だったが…
レコード探しをするなかで距離を急速に縮めていく二人だったが…[c]2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

少年少女のじれったくもピュアで爽やかな青春模様、さらに老人が胸に抱える愛情深い思い出話には、思わず心が動かされた人も多いようだ。

完璧ではないキャラクターたちの人間味に、思わず共感!

コミュニケーションが苦手な少年チェリーを演じるのは市川染五郎
コミュニケーションが苦手な少年チェリーを演じるのは市川染五郎[c]2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

そんな瑞々しい物語にさらなる魅力をもたらしているのが、欠点を抱えるキャラクターたちだ。例えば主人公のチェリーは、人とのコミュニケーションが苦手で、ヘッドホンを付けることで周囲を遮断しながら過ごしている。話すことは苦手だが、言葉で感情を表現することには長けており、俳句を通してスマイルに想いの丈を伝える一面も持ち合わせている。

「コンプレックスに対する繊細な心の移り変わりが共感できて、印象的だった」(10代・男性)
「キャラクターがかわいらしく、応援したくなった」(30代・女性)
「表情が豊かで気持ちが伝わってきた」(40代・女性)


というように、チェリーの純粋でナイーブなキャラクター像が印象的だったという声が多く上がる一方で、

「本業が演技する人とはいえ、声優ではないのにとても自然な声で印象的でした」(20代・女性)

と、声優初挑戦とは思えない、落ち着いた声色で、チェリーの繊細なキャラクターを表現した市川を絶賛する意見も寄せられた。

ルックスにコンプレックスを抱えるヒロインのスマイルを杉咲花が演じる
ルックスにコンプレックスを抱えるヒロインのスマイルを杉咲花が演じる[c]2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

明るく天真爛漫なヒロインのスマイルも、悩みを抱えている少女。彼女は自分がかわいいと思うものを紹介する動画配信者としてSNS上で人気を集めているが、自分の出っ歯と矯正器具はかわいくないと思っており、マスクを手放すことができない。ハリを感じさせる透明感のある声が時折ふと生気を失ってしまう、そんな杉崎の細やかな演技で感情を宿したこのスマイルにも、以下のような感想が寄せられている。

「容姿のコンプレックスは皆抱えているものだし、それでも明るく振舞う彼女に共感と尊敬。こうありたい」(30代・女性)
「自分も出っ歯で歯を矯正していたので、気持ちがよくわかります」(30代・男性)
「杉咲花さんの声がとてもいい。キャラクターにマッチしていた」(20代・男性)
「かわいい!キャラデザと声が合っていた」(20代・女性)

レコードを長年探し回っているフジヤマを演じるのは山寺宏一
レコードを長年探し回っているフジヤマを演じるのは山寺宏一[c]2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

また、脇を支えるキャラクターも個性豊かなクセ者ぞろいだが、なかでも山寺宏一が演じた物語のキーパーソン、フジヤマに心動かされた人も。その理由として並んでいたのが、

「フジヤマさんの作る俳句がどれも素晴らしかったことと、愛が深い性格だから」(20代・女性)
「チェリーの背中を押してくれたから」(20代・男性)


といった言葉たち。長年にわたって思い出のレコードを探し続けている、ボケてしまっているのか、エキセントリックな人物なのか一見わからないキャラクターだが、チェリーとスマイルのキューピットとなるなど、言動から感じ取れる深い愛情に感動した人も多かったようだ。


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