映画目利きの映画館スタッフが語る『サイダーのように言葉が湧き上がる』の魅力とは?
サウンド、色彩、映画館で注目したいポイントは?
映画館スタッフ限定の試写会ということで「劇場で観てほしいポイント」を尋ねてみたところ、多くの意見が寄せられたのが、サウンド面のすばらしさだ。
言葉と音楽で距離を縮めていく男女のストーリーとして、音楽が重要な役割を担っている本作。数々のアニメの劇伴や音楽を手掛けてきたフライングドッグが音楽制作を担当しているだけあって、そのクオリティはお墨付き。さらに『映画 聲の形』(16)などで手腕を発揮してきた牛尾憲輔による清涼感とセンチメンタルな質感が同居した劇伴が随所に盛り込まれている。
極めつけは、劇中歌をシティポップの代表的アーティストである大貫妙子が、主題歌を人気バンドnever young beachが担当。とにかく豪華なサウンド面に関して、
「細やかなサイダーや氷の音、ヘッドホン越しの音、ダイナミックなBGMなど音楽がとても素晴らしく、映画館の音響でぜひ聴いてもらいたい」(20代・男性)
「サイダーのようにはじける重低音がいい」(30代・女性)
「足音とかセミの声とか耳に心地良い音が至高でした」(20代・女性)
「劇中で使われている曲、歌がいい」(10代・男性)
といった好意的な声が多く寄せられた。さらに、アニメならではの色彩にも注目する意見も多数。
「花火や外灯の光がとても綺麗なので、暗い映画館の大スクリーンで観るとさらに作品の美しさが感じられると思った」(20代・女性)
「色づかいや細部に至るデザインを大きな画面で観られるところだと思います。グラデーションや影の付け方などもぜひ映画館で観てほしいです」(20代・女性)
音楽と映像の美しさが際立っている作品だけに、映画館の大スクリーンと音響で堪能すべきと劇場スタッフも太鼓判を押している。
映画館スタッフが思う本作ならではの良さとは?
また最後に、普段よく映画を観る映画館スタッフだからこそ感じた本作の魅力についても、様々な感想が挙がっているので紹介したい。
「映像と音楽のマッチングがすばらしいです」(30代・女性)
「現代ならではの恋愛スタイルと、昔ながらの人との触れ合いがうまく表現されている」(40代・女性)
「俳句をラブストーリーに絡めて、そこで感情などを表現するのはおもしろい」(20代・男性)
「動画配信など若者に寄せていると思わせつつ、俳句やレコードなど懐かしも感じさせ、家族で楽しめる。コンプレックスの克服を恋愛と絡めて、誰もが共感できるようになっている」(30代・女性)
「アニメーションや色合い、音など五感で感じられる“夏感”が魅力」(20代・女性)
恋愛、コンプレックス、ノスタルジーといったどの世代のどんな人でも共感し得る普遍的なテーマが込められた物語とキャラクター、そしてそれらを盛り上げる美しい音楽と映像。絡み合うすべての要素が作品の魅力となっていることがわかる。
繊細で叙情的な演出に定評のあるイシグロキョウヘイ監督の手により、サイダーのように爽やかな夏を感じさせる作品に仕上げられた『サイダーのように言葉が湧き上がる』。劇場で観てこそ、本作の魅力を100%堪能できるに違いない。
文・構成/サンクレイオ翼