「“ここで撮りたい”気持ちがストレート」『唐人街探偵』日本ロケの功労者たちが中国映画から受けた刺激
「映画の内容や撮影のイメージを伝えた想いが届いた」(松本)
――「こんなところでも撮影できるんだ」という発見がありそうですね。
福井「『諦めなかったらできるんだ』と思いました。秋葉原の中央通りを封鎖しての撮影などもその一つです」
松本「早朝の3時間しか撮影できないという制限があるなかで、撮影を予定していた2日間の前日に台風が来てしまったんです。振替はできないので実行するしかない。台風の通過後は風もなく天気はすごく良かったんですが、JRも私鉄も撮影初日の午前中まで運休を決めてしまっていました」
福井「もともと500人集める予定だったのが、結局は300人になりました。コスプレイヤーの方たちは準備に2~3時間はかかるため、当初は終電で集合してもらい、休憩所で休んでから準備に取り掛かってもらうつもりでした。しかし、電車が動かないので移動が難しい。そこで、スタッフが利用するマイクロバスを10台走らせて、最寄り駅まではなんとか来ていただき、そこでみなさんをピックアップする方法で乗り切りました。スタッフはさらに早い時間から動いていたので、体力的にもかなり大変でした」
鎌田「秋葉原も、ものすごく時間をかけてやっと許可が下りた場所です。『以前のような秋葉原らしい歩行者天国を取り戻したい』という気持ちも高まっていましたし、映画に登場することで少しでもその応援ができればという考えもありました。そんな私たちの想いも汲み取ってくださり、警察の方も、地元の方もとても協力的でした」
松本「官民一体となった安全な街づくりを目指す協議会『アキバ21』という組織があります。そこに鎌田さんと一緒に足を運び、映画の内容や撮影のイメージを伝えた想いが届いたという感じです」
――(本編の映像は)秋葉原での撮影でなければ出ない空気感でした。
鎌田「そうなんです。撮影しやすい場所ならほかにいくらでもあります。でも、あのシーンは秋葉原でないと意味がないんです」
松本「いま振り返ると台風が来ただけで、撮影は事故もなく無事に終えることができました。初日は台風の影響で電車が運休していて人が少なかったこともあり、逆にラッキーだったとも思っています」
福井「最後のカットも8時59分にカメラを回し始めて…。二度目はないという状況でしたが、きちんと時間内に収まりましたしね」
「今後も良い関係性を築きたい気持ちがあった」(鎌田)
――時間をきちんと守って、日本ルールに則っての撮影ができていたんですね。
鎌田「福井さんが中国のカメラマンとの信頼関係を築き、僕はチェン・スーチェン監督とこまめに話をしていました。言語も文化も違うけれど、これは遊びじゃなくて仕事だから、関係性がとても大事。その関係性を作るためには、コミュニケーションが必須です。だからこそ、お互いの『こうしてほしい』というリクエストを受け入れ、実現するという姿勢でいました。撮りたいカットを自分たちのやり方でやる、極端に言えば“強行突破”的な撮影もやろうと思えばできたはず。でもそれをやらなかったのは、今回だけでなく、今後も良い関係性を築きたいという気持ちがあったのだと思っています」
福井「良い関係性を保って撮影ができたのは本当に良かったと思います。海外での撮影はどの国でも、後日談として良くない話を耳にすることも少なくはないので」
――要望に応えるからルールを守ってくれた…とても良い関係性であることが伝わってきます。
鎌田「信頼関係ができていたからこそ、叶えてあげたいという気持ちにもなる。どんどん作業が楽しくなってくる相乗効果がありました」
福井「優秀な翻訳アプリのおかげで、通訳の方を介さずに、感覚的なことをダイレクトに伝えられたことも大きかったです。絶対に守ってほしいことを、口が酸っぱくなるほど相手に伝えられたので(笑)」
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