柳楽優弥「これからも春馬くんをずっと愛して、大切に…」“戦友”三浦春馬への想いを吐露
『映画 太陽の子』(8月6日公開)の完成披露上映会舞台挨拶が7月7日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、柳楽優弥、有村架純、國村隼、黒崎博監督が登壇。柳楽が本作で弟役を演じ、昨年7月に亡くなった三浦春馬について、「戦友というか、ライバル。今回は兄弟役という関係で、いろいろと関わらせていただいた」と切りだし、思い出深いシーンについて「春馬くんをこれからもずっと愛して、大切にいきたいと思えるシーン」と胸の内を明かした。
本作は日本の原爆開発を背景に、時代に翻弄されながらも全力で駆け抜けた若者たちの姿を描く青春グラフィティ。「この研究が成功すれば、戦争は終わる」と信じて実験に没頭する若き科学者の石村修を柳楽が演じ、2人の幼なじみで、戦後の未来を見据えて力強く日々を生きている朝倉世津を有村、修の弟で父親の意思を継ぎ軍人となった裕之を三浦春馬が熱演している。監督、脚本は「青天を衝け」など多くの話題作を手がける黒崎が務めた。
柳楽は「知らないことがたくさんあった」と脚本を通して、戦時下で奮闘した若者についていろいろと学ぶことがあったといい、本作に携われたことについて「本当に貴重な時間になりました」と吐露。「僕や架純ちゃん、春馬くんとか、30前後の俳優が、こういったしっかりしたテーマの作品に参加して、年齢にかかわらず、みんなに伝えていくということは、とても意味のあることだったと思える。本当に最高な時間でした」としみじみと語った。
好きなシーンを聞かれた柳楽は、「海のシーン」と告白。「とても難しいシーンで、陽の関係などもあり、ワンテイク、1発オッケーじゃないとダメという緊張感があった。裕之を助けに行くシーンなんですが、前日にしっかりとリハーサルをして、映画の撮影現場なんですけど、舞台の本番初日のような緊張感があった。本編を観てすごくいいシーンになっているのも、あの緊張感があったからという達成感がある」と充実感を明かした。
さらに「春馬くんは10代前半くらいから、一緒にオーディションをする仲だった」と切りだし、「戦友というか、ライバル。今回は兄弟役という関係で、いろいろと関わらせていただいて。春馬くんがこの作品に愛を持って参加してくれたように、僕自身もこの映画に参加したメンバーも、春馬くんをこれからもずっと愛して、大切にいきたいと思えるシーンでした」と力を込めていた。
また「柳楽さんも春馬さんも、一度お仕事をしたことがあったので、自然と幼なじみという関係性ができていた」という有村は、「現場もすごく穏やかでしたし、作品は戦時下という厳しい環境にありましたが、撮影の合間はすごく笑顔が多かった」と述懐。縁側のシーンが印象深いといい、「台本にはなかったんですが、戦地に送りだす裕之に対して、未来を作ろうとしている修に対して、言葉ではないもので伝えたいなと思って、2人の手を握らせてもらった。3人の空気感が穏やかで、微笑ましいシーンになってよかったなと思っています」と目尻を下げていた。
七夕ということもあり、短冊型のフリップに願いを託す場面もあったが、柳楽は「映画の力でみんなに元気を」とフリップを掲げ、「予期せぬことが起きているなかで、前向きなポジティブバイブレーションに変換させていかないといけないと思っている。エンタテインメントに支えられているなと感じることがあるので、やっぱり僕は映画が好きですから、映画の力で元気を与えられるような作品に参加していきたい」と宣言。会場から大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田 おり枝