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『SEOBOK/ソボク』監督が明かす、コン・ユとパク・ボゴムの“化学反応”「コン・ユさんが2人の雰囲気を作っていった」

インタビュー

『SEOBOK/ソボク』監督が明かす、コン・ユとパク・ボゴムの“化学反応”「コン・ユさんが2人の雰囲気を作っていった」

「コン・ユさんは、パク・ボゴムさんのまなざしが輝くように雰囲気を作っていった」

映画の感情と役者の気持ちを重ねるために、シーンの順番通りに撮影するのが監督のスタイルだ。本作もほぼすべて、映画の流れに沿って撮っていった。ギボンとソボクが打ち解けていくさまも描く本作は、初共演となるコン・ユとパク・ボゴムの関係をとらえたドキュメンタリーともいえる。「海辺でソボクが石を積み重ね、ギホンが涙を流しながら罪を告白する場面で2人が心を通わせるように、役者2人の信頼もこのシーンでぐっと深まった」と振り返る監督。コン・ユとパク・ボゴムのバックステージの様子をこう明かした。

「2人で話をしている姿を遠くからよく見ていました。私は自分の仕事に集中していたので、主演俳優として信頼を置いているコン・ユさんに『パク・ボゴムさんを頼む』と任せたのです。コン・ユさんは、パク・ボゴムさんのまなざしが輝くように、雰囲気をうまく作っていった。2人の化学反応はすごくよかったと思っています」。

徐々に打ち解けていくギホン(コン・ユ)とソボク(パク・ボゴム)
徐々に打ち解けていくギホン(コン・ユ)とソボク(パク・ボゴム)[c]2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTSRESERVED


「映画にたとえると、私の人生は1時間半ぐらいが過ぎたのではないかと」

着想から完成まで9年。自らシナリオを書いた監督の背中を押したきっかけのひとつは、身内の死だったという。
「闘病の末に家族が亡くなったのは個人的に大きな事件でした。死に対する恐怖も初めて感じました。その時、気づいたんです。死は明らかに誰にでも訪れるものだと。死というものを正面から見つめることができました。映画のランニングタイムにたとえると、私の人生は1時間半ぐらいが過ぎたのではないかと思っています。映画を撮りながら、なんのために生きているのか振り返り、自分自身を癒すきっかけにもなりました」。

もうひとつ監督が経験した身近な死は、「特に愛着がある」というシーンに投影されている。
「ソボクが作られることになったきっかけの男の子が眠る聖堂が登場します。ロケハンであちこち探したのですが、いい場所が見つからなかった。結局、私が知っている場所で撮影することになりました。ソウルにある聖堂で、そこには私が小学校から大学までずっと友だちだった人が眠っています。30代序盤で急死した時は、現実だと思えなくて。この聖堂のシーンには、とても大きなテーマが凝縮されているんです」。

「ワンカット撮るたびにモニターの前で話し合いました」

【写真を見る】場面写真大放出!監督が絶賛する、コン・ユとパク・ボゴムが作り出す“雰囲気”に注目
【写真を見る】場面写真大放出!監督が絶賛する、コン・ユとパク・ボゴムが作り出す“雰囲気”に注目[c]2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTSRESERVED

アクション、特殊効果、群衆シーン、銃撃戦。骨太のヒューマンストーリーの世界観を彩るビジュアルは、スタイリッシュで壮大だ。『パラサイト 半地下の家族』(19)で米国アカデミー賞美術賞にノミネートされたイ・ハジュン美術監督をはじめ、『アシュラ』(16)のイ・モゲ撮影監督など、韓国映画を代表する面々が結集した。

「以前の私の作品はドラマの部分が多かったので、ワンシーンごとに俳優たちとモニターでチェックして、どんな感情で撮ろうか話し合いました。対して本作の場合は、どうしたら効果的に撮れるのか、技術的なことですごく悩みました。『SEOBOK/ソボク』の撮影に当たっては、視覚効果や特殊効果の方など、たくさんの人に入っていただき、1つのチームを作りました。プリプロダクションの時からワンカットずつどういうふうにしたらこれを映像にできるのか、一番効果的に撮れるのか何度も会議を重ねました。現場に入ってからも核心となるスタッフが一丸となって動き、ワンカット撮るたびにモニターの前に集まって話し合いました。技術や、映像化するための準備など、たくさんのことを学びました」。

近親者の死が本作に大きな影響を与えたと語った
近親者の死が本作に大きな影響を与えたと語った[c]2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTSRESERVED

SF大作であり、ロードムービーであり、バディ映画。そして主演ふたりの人間ドキュメンタリーともいえる『SEOBOK/ソボク』。『建築学概論』とは、まったく異なるジャンルだが、どこか似たようなあたたかさをもつ作品でもある。映画で一貫として描こうとするものにについて、監督はこう語った。
「映画で伝えたいのは、やはり人生で感じる切実な感情、あるいはヒーリング。そのなかには怖いという感情も含まれると思います」。
自分にとって、これは描くべき宿題になるだろうという思いが作品の原点という監督。そんな気持ちが映画に自然に投影されているのだろう。

取材・文/桑畑優香


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